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あなたの言いたいこと
Vol.149/2010/6

今号は、パースでできた友達(?)についての投稿です。

「あなたはあなた。」

すみません…、この投稿を読んで気分を悪くする人がいるかもしれませんので、先に謝っておきます。

『旅の恥はかき捨て』ってことわざですが、「旅先だから知り合いもいないし、どんな恥ずかしいことをしてもその場限り。多少羽目を外してもいいじゃないか」といった感じで解釈している人が多いかと思います。ポジティブに考えれば「何でも挑戦しよう」といった具合になるのでしょうけど、「“旅先”で“見知らぬ人ばかり”だから、思い切ってやる」って言うのは、ちょっとおかしな話ですよね。普段から思い切ってやればいいことなので。そこで、このことわざの意味は「旅先だからといって何をやっても良いわけではない。見知らぬ土地だから羽目をはずしてしまい恥をかくこともある。かいた恥を肝に銘じよう」といった解釈が正しいのではないかと個人的には思っています。

さて、狭い狭いパースの社会。一応、表向きには友達としてお付き合いをさせていただいていますが、時々一緒にいて息苦しくなる知人(相手は友人と思っているでしょうけど)がいます。そんな知人3人を紹介させて下さい。

N君
飲み会や合コンが大好きなN君。バーやナイトクラブに行くのも大好き。でも、たまに「えっ?」ってことを口にしたり、行動したりします。例えば、「俺、日本でメチャやばいことしてきた」とか「女遊びはもう飽きた」といった類の話です。あと、金銭的に無理してでも高級車に乗ってみたり、豪華なアパートに住んでみたり。ちなみに、容姿については触れてはいけないことですが、正直、3枚目以下です。オシャレも頑張っていると思いますが、ズレています。性格的には臆病で、いつも周りの視線を気にしています。たまにN君の“ヤバイこと”や“女遊び”ってどんなものだったのかと拍子抜けしてしまうこともありますが、どうしても「無理しているな」っていう印象のN君です。

K君
一見、ごくごく普通の日本人青年。 “まじめ”を絵に書いたような容姿。日本ではサラリーマンをしていそうです。そんなK君とは仕事先が一緒でしたが、時々こっちがドキッするような場面に出くわしました。例えば、上司と話していると積極的に自分を売り込み、人から聞いた話を自分のことのように説いたり。あと、初対面の人にはまず歳を聞いて、年功序列で物事を判断します。年下には、上から覆い被さるぐらいの目線で話をして、自信満々に自分の武勇伝を語り始めます。ちなみに、言葉遣いも年齢によって使い分けています。とにかく自分を大きく見せようとするK君。当然、身長ではありませんよ。

Sさん
自称クリエーターのSさん。いろいろと作ったものを見せてくれますが、どうも『筋』みたいなものが見えてきません。「作品はどうやって生まれたのか?」と聞いても、いつも「なんとなく」「思いつき」「理由はない」といった返答です。会話の中でも、たまに突拍子もないことを言って、「芸術家っぽいでしょう」と、周りを笑わせています。奇抜な服を着て、みんなを驚かすことも多々あります。Sさんは、おそらく自己主張というものを作品に置き換え、それをアートとしているようですが、モノ作りもコンセプトがあるはずで、発想のモトが見えてきてほしいです。そう考えるのは、私だけでしょうか?

紹介させていただいた3人の知人に共通することは、目標としている自分に日本ではなれなかったが、そんな自分を日本に捨て、新しい環境(パース)でその目標の自分を“演じている”ということです。問題は、その“演じている”ということです。新しい自分に生まれ変わることは、とっても良いことだと思います。でも、着ぐるみで変身して、中身がそのままでは全く意味がありませんよね。場所や環境が変わっても、どこに行こうが過去の自分とは決別できない。この3人は「あなたはあなた」ということを忘れてしまっているようです。

<投稿者>マサ 男性/30歳後半