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あなたの言いたいこと
Vol.148/2010/5

今回は、オーストラリアでの子育てについての投稿です。

「私は、なに人?」

2児の母です。上の息子は21歳で、下の娘は17歳です。日本人の夫と19年前にオーストラリアに来ました。息子がまだ2歳の時でした。娘はこちらで生まれています。家では、全て日本語での会話です。20年ちかくもオーストラリアにいるので、こちらのスタイルは多少入っているとは思いますが、家の中はまさに『日本』だと思います。
 
この間、下の娘が「私って、なに人なのかな…」って、ポツリと聞いてきました。「日本人のお父さんと日本人のお母さんの間に生まれてきたんだから、日本人なんだろうけど、でもオーストラリアで生まれているから、オージーなのかな?」と。ドキッとしました。まさにアイデンティティの話だ、と思いました。確かに、来年はもう大学にあがる歳なので、そのようなことを考え始めるのは当然なのかもしれませんが、その時、不覚にも親としてちゃんとした会話ができませんでした。

去年の始め、家族4人で2週間ばかり日本に帰りました。それなりに楽しんだ日本滞在でしたが、こちらに戻ってきてから娘が「将来はオーストラリアに住んで、仕事をすると思う。今は、日本よりオーストラリアの方が好き」と言っていました。その娘の発言は、私にとってとても複雑でした。日本人の両親をもつ娘は、オーストラリア人になれるのか…。ビザとか戸籍といった書類上の話ではなく、心の問題として娘だけではなく、私たち家族全員の問題だと思っています。
ちなみに、私は自分を日本人だと思い、日本に帰国すれば自分の国に帰ってきたと実感しています。夫も同じ思いだと思います。人生80年だとしたら、あと30年ちかくをこのままオーストラリアで過ごすのか、または日本に戻るのか、はたまた違う国に移り住むのか、全く未定です。でも、どこかで最後は日本なんじゃないかな、と漠然と考えています。オーストラリアのお墓に入る自分が想像つかないのです。

娘は、親の私が言うのもなんですが、学校の成績もよく、日本語も良くできます。読み書きもそこそこできます。しかし、息子は対照的に日本語があまりできません。読み書きは、ほぼゼロといった状態です。その息子が今、日本にいます。日本が気に入ったようで、この間、「当分、オーストラリアには戻らない」とスカイプを通して言われました。また、こんなことも言っていました。「見た目が日本人なのに日本語があまり上手く話せないってことで、バイト先でちょっとイヤな思いをした。オーストラリアでは、学校のクラスにアジア人は俺しかいなかったのに、差別的な思いはほとんどしなかったんだけど…」と。親としてショックでした。息子自身はそんなに意に介していませんでしたが、娘の件もあったので、私の心は痛みました。

そこで最近、19年前に私と夫が選んだライフスタイルは間違っていたのか、息子と娘に混乱を招いてしまっているのかと悩んでいます。夫は「これからますます、国境というものは関係なくなってくる。全世界の人間が、遅かれ早かれ同じような問題に直面することになる。今直ぐに出る答えはない」と言っています。でも、息子や娘の今置かれている立場をどのように親として説明してあげればよいのか、それとも自分たちで解決していけるのか、心配でなりません。『彼らはもう子供ではない』ということも分かっています。でも最近は布団に入り、眠りに付く前に「私の子どもたちへの接し方は正しかったのだろうか」とか、「教育方法に間違いはなかったのか」と振り返ることも、しばしばです。

<投稿者>匿名希望 女性/50歳代