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子は親父の背中を見て育つ。血のつながりや同じ空間を共有することで、必ず子は親父を見ながら成長するものである。そして、親父に憧れる。

先週、友人よりメールが届いた。それも「ガキができた」の一言だけの。この一言だけでその友人の喜びを十分汲むことはできるが、私にとってこのメールは"ある人"を思い出させた。

この友人とは、以前にもこの「Editor's Note」に登場した学生来の親友で、パースにも来たことがある。俗に悪友とでも言うのか、もう2年近く会ってはいないが、もし明日偶然に道端で会っても、「よっ」といった感じで、普通に世間話ができる友人である。

その友人の親父さんは、我々が高校生の時、病気で亡くなった。彼から「オヤジが病気だ」と聞いてから、直ぐの悲報だった。生前、彼の親父さんと最初にお会いしたのは、横っ面に容赦なく、突風が吹きつける土手っぷちのサッカー場だった。無心にボールを追いかけていた我々を土手の上から叱咤している監督の横に、彼の親父さんはいた。大柄な方だった。ゆえに、彼も長身なのだろう。

今でも鮮明に覚えている。立派なお葬式だった。親父さんの人柄と人格がそのまま表れたお葬式だった。そのお葬式に参列した私は、お焼香を待つ列席者の一人一人に頭を下げている気丈な息子を尊敬の眼差しで見ていた。そして今、その彼が、自分の2世をこの世に誕生させようとしている。"父親"。亡くなられた親父さんと彼との姿がだぶる。

PS: 「おめでとう!!でも、子供を抱っこしている君の姿が想像できません。落っことさないように、いまから練習しとけよ!」

パースエクスプレス編集長
今城 康雄
2003年6月26日