毎日同じことの繰り返しの中で、開拓地から60キロ離れたバッセルトンへピクニックをしに遠出したことは心に残る出来事で、グループのほとんどの家族が参加した一大イベントだった。私たち子供にとっては、冒険に満ち満ちた一日だった。知らない土地を何時間も走ったり、浜辺で遊んだり当時最盛期だった材木の船着場を散歩したりした。しかし、その日は両親にとっては災難続きだった。まず飼犬のスポットがトラックに轢かれた。大人たちはとても心配したが、殺さなければならないほど深刻な怪我でもなかった。近所でスポットを一日預かってもらっていたが、遠出の興奮ですっかりそのことを忘れていた。夕暮れに家に戻るとスポットは裏のベランダで私たちを待っていた。1キロの道のりを体を引きずりながら戻ってきたスポットの、悲しく胸に熱いものが込み上げてくる出迎えだった。
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数週間で回復し、幾分不恰好さは残ったものの無邪気な快活さはそのままで、開拓地生活を私たちと元気に楽しく過ごした。バッセルトンの大きく品揃えもいい店で買い物をした時に2度目の不運は起こった。大枚をはたいて買った品物が盗まれてしまった。店員は誰かが前に取りに来たと言ったが、店は責任を取らず品物も戻ってはこなかった。この損失は両親に大きな痛手を与えた。
バッセルトンのホテルで一杯ひっかけた人たちで帰りのトラックは賑やかだった。やがてひとりひとり疲れきって静かになっていった。トラックがカーブを曲がったり、予期せぬ窪みにはまり揺れたりするので子供を庇いながら、自分も椅子から落ちないようにだけしていた。ほとんどの子供達は疲れきって荷台でまどろんでいた。 |