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デュアルライフ&スイマーが 世界の頂点を狙う

デュアルライフ&スイマーが 世界の頂点を狙う by平井康翔

Vol.211/2015/08

デュアル・ライフ&スイマーが 世界の頂点を狙う


7月24日からロシアのカザンで開催される世界水泳選手権出場のため、飛行機で移動中の平井康翔選手から寄稿文が届きました。2016年のブラジル・リオデジャネイロ・オリンピックへの出場権をかけた大一番を直前にひかえ、筆者平井選手の思いが伝わってきます。


第3回

「ワールドカップ・ハンガリーとポルトガル大会」

 6月中旬、僕はヨーロッパに滞在していました。世界水泳を1ヶ月前に控え、最後の実戦としてワールドカップ(W杯)に出場するためです。オープンウォーター・スイミング(OWS)のW杯は、年間に10試合あります。世界のOWSトップスイマー達は、主にそこを主戦場にし、競技生活をおくっています。今回、僕はこの2試合でトップ8、トップ5に入るという目標を立て、練習に取り組んできました。

 

 まず、ハンガリー大会ではバラトンフレッド湖というヨーロッパで1番大きな湖が試合会場でした。この大会には、世界王者やワールドカップ優勝経験者が世界水泳まで1ヶ月という期間ではありましたが参戦しており、自分が今どこにいるのかを確認できる絶好の機会でした。結果は6位入賞で、10kmで世界王者へ残り6秒のところまで迫りました。この結果は、自分に相当大きな自信を与えてくれました。世界水泳で戦うメンバーがほとんど出場していたので。

 そして、ポルトガル大会はリスボンから車で1時間の場所にある、セチュバルという港町が会場でした。セチュバルは今回を含めて3回、行ったことがあるので、もう慣れた土地だという印象がありました。ここでは海が試合会場で、5位という結果でした。3位と2秒差だけだったので、悔しさの方が強く感じました。悔しいという気持ちを感じたのも、この転戦で自分の実力が上がり、自分が成長した証だとプラスに考えています。

 さて、今回の2つの大会へは、ゴールドコースト→成田→ドバイ→ブタペスト→リスボン→ドバイ→成田というフライトで、さすがに帰りの飛行機はメンタル的にも肉体的にも相当キツかったです。基本的に僕たちは、エコノミークラスに乗ります。もっと世界水泳やオリンピックでメダルを獲得すれば、ビジネスクラスで海外試合を転戦することができると思いますが、今はこの環境で頑張らなければなりません。やはり10時間以上のフライトで試合をこなしていくと、疲れがドッと溜まり、その疲れが抜けづらくなります。エコノミークラス症候群にならないかと心配することはありますが、今のところ大丈夫です。結果を出して、ビジネスクラスで海外試合を転戦できるようにするというのが、今のモチベーションになっています。

 ポルトガルからゴールドコーストに戻らず、東京に戻り、ナショナルトレーニングセンターで3週間、世界水泳に向けて最後の追い込みをしました。ここは各競技の日本代表クラスしか使用することができない国の施設で、トレーニング施設、宿泊施設、病院など全てが揃っている最高の環境です。

 この寄稿は世界水泳に向かう、モスクワ行きの便の中で書いています。ちょうど1週間後の7月27日が、世界水泳のレースの日です。ここでトップ10に入れば、オリンピック開催1年前に出場権を獲得することができます。今まで、このために全ての時間を捧げて、競技生活をおくってきました。次号で読者のみなさんにどんな報告できるか楽しみです。皆さんも楽しみにしていてください!
写真:ハンガリー大会とポルトガル大会の時の模様

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