言わずと知れた南半球の象徴的な星、南十字座を形成する南十字星。1627年フランスの天文学者ロワイエによって設定されました。15世紀の大航海時代に、南半球の海へ船出した探検家たちは、初めて航海する南の海で星空を見上げ、未知の星ぼしの輝きにの中でも明るく小さな十字架の星の並びを見つけ、思わず十字を切って航海の無事を祈ったと言われています。また、十字の長い線が南北を示すことでも有名な星座です。そして、かの有名な宮沢賢治作「銀河鉄道の夜」の終着駅としても知られています。
 日本では沖縄などの南の島で地平線ギリギリに見えるものの、普段は見ることができません。しかし、ここオーストラリアではとても身近な存在です。そこで、見つけ方のコツをお教えしましょう。見える方向はもちろん季節や時間帯によっても異なりますが、この時期の夜7時頃だと上図のように真南の方角、頭上近くの高い位置に見ることができます。その後、時間が経つにつれて南西方向へ回転し、角度も下がっていきます。ミルキーウェイ(天の川)の中にあるので郊外で探すと星が多すぎて逆に見つけにくいかもしれません。しかも南十字星は、全天の星座88個の中で最も小さい星座なので、見つけるのは容易ではないでしょう。その上、この近くにひと回り大きくて立派な「ニセ十字」と呼ばれる星座があるため、見間違える人も少なくないはずです。本物と偽物の区別ですが、本物の東側にはケンタウルス座のα星とβ星という明るい星が輝いていることで見分けることができます。

マゼラン星雲

南の空を見上げると、大マゼラン星雲、小マゼラン星雲という大小2つの星の大集団をみつけることができます。夜空に明るい雲が浮かんでいるのかと思うような…。大きさも十分肉眼で確認できるほどです。距離は、地球から約15万光年のところにあります。マゼランが世界一周の途中に見つけたことからこの名前がつきました。

オーストラリアの国旗

オーストラリアの国旗には、この南十字星とケンタウロス座α星がデザインされている。


(1) 双眼鏡を使う!
手軽な双眼鏡で更に星たちを身近に引き寄せることができます。初心者にとっても両目で立体的にとらえられ、視野の広い双眼鏡は扱いやすくて便利です。倍率が低いものがオススメで、手で持つなら口径30〜50mm、倍率6〜8倍位のものが最適です(例えば、7×50というのは、倍率7倍、口径50mmという意味です)。
双眼鏡の上手な使い方:初めから双眼鏡を覗くと視野が狭くなってしまうため、まずは肉眼で目的の星を見据えてから双眼鏡を構えるようにしましょう。また、脇をしめてぶれないようにします。三脚があれば最適ですが、窓枠や車の屋根などに肘や頭を固定しても手ぶれを押さえることができます。

(2) カメラで撮影する!
感動を残したいという方は、星を撮影してみるというのはどうでしょう。ただこの場合、一眼レフなどの長時間露出のできるカメラが必要になります。天体写真にも様々なジャンルがあり、奥が深いものですが、一番手軽に始められるのは固定撮影(星が線になっているもの。なお、点になっているものをガイド撮影と言う)です。その時、必要になってくるのが、レンズ、三脚、レリーズ、フィルムなど。基本的な撮影方法としては、星の回転速度と角度を考え(1日で約360度回転、1時間では15度程度)固定撮影をしたいときは長時間の露出を、見たままに撮りたいなら1分程度の短時間露出で撮影します。また、天体写真撮影には専門的道具や用語の知識も必要になるので、あらかじめ予備知識が必要となるでしょう。

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