パースエクスプレスVol.106 2006年11月号

「写真に思想と現実を写し込めるのか」

  中米エルサルバドルを皮切りにフォトジャーナリストの仕事を始めておよそ15年間。これまで、主に軍事政権下に暮らす人びとの生活を撮ってきた。特にこの数年は、東南アジア最後の軍事独裁政権国家、ビルマ(ミャンマー)に焦点を当てて、現場を、まさにはいずり回っている。1962年の軍のクーデター発生以来、軍事独裁政権が続くビルマ。この国を訪れる度に、ビルマの民主化が一刻も早く達成されたらいいな、と願っている。

  この数十年、アジアの良さが喧伝されるのをよく聞く。日本、アメリカ、オーストラリアなどの先進国(欧州はちょっと違うと思うけど)は、価値観がお金儲け主義に一元化され、人びとの関係は殺伐としたものになっている。

  その一方、アジアは経済的には貧しいけれど、人びとの助け合いや結びつきはお金では換算することができず、まだ人間らしい社会が残っている、と。特にビルマは、軍事政権のおかげで長らく鎖国を続けていたため、お金では換算できない人と人との結びつきがまだまだ残っている、とも。

 

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