「忘れられた『虐殺の記憶』」 

曇りのち、ときどき雨。6月30日の午後、「秘密墓地」の発掘は予定より3日早く終了した。この2週間半というもの、ほぼ毎日、軍による虐殺の証拠となる遺骨を自分の目で見届けるために現場に足を運んだ。だが、結局、遺骨は出てこなかった。
 中米グアテマラの内戦が終結したのは96年12月。戦争が終わって8年が経過し、戦禍の跡は今、表面上感じることはない。実際、首都や地方の村を訪れてみても、一般の人の軍に対する恐怖は薄れている。軍の暴力によって20万人近い犠牲者を出した歴史は忘れられようとしている。
 しかし、そんな中、コナビグア(「連れ合いを奪われたグアテマラ女性の会」)は今も虐殺された(であろう)肉親を求めている。

「秘密墓地」の遺体探しは88年頃から始まっており、発掘に関する記事は、これまでグアテマラ国内に限らず海外にも伝えられていた。それだけに今、とりたててニュースになることはない。だが、肉親を失った人々と、特にインディヘナと呼ばれる先住民族の人々は今も、犠牲者の遺体発掘を続けている。

 

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