「愛情の反対は無関心だ」。うまく表現したもんだ。
  私は関心を持たない人やその時代風潮にに怒りの声を上げているのではない。もちろんそれもある。システムに怒っている場合もある。さらに、その奥に潜む本当の怪物 ─ 関心を払わなくてもいい仕組みに慣れ、そこにとどまろうとする。このどうしようもない人間の甘さ、浅はかさにも怒っている。素晴らしい人間。しかし、どうしようもない人間性もある。この二律背反。
  しかし、そうは分かっていても、現実の毎日は違う。情報が溢れている余裕のない社会だ。いわゆる「先進国」社会は、程度の差こそあれ、思考を停止させるほど忙しい社会になりつつある。「どうして」、と考えさせることを許してくれない。
 インターネットが普及した昨今、電子メールを使ってメッセージを届けようと宛先をタイプした場合、

  ほんの「.」や「,」を打ち間違えてしまうと、もう相手には届けられることはない。機械にあわせて、あるいは規格にあわせて使う限りは、確かに便利だが、それを外れてしまうと全く融通性がない。
  こんな時、インターネットに慣れたモノなら入力を間違った「人間」を嘲笑うだろう。しかしである、人が機械を使うのであって、機械にあわせて人が存在しているのではない。まったく硬直している社会だ。
  先日、米国バーモント州に住む74歳の知人から手紙が届いた。フェルトペンで書かれた郵便番号こそ判読できる範囲で書かれていたが、町名以下の住所は全て略されていた。それでも、人間が判断して配達するから、無事届けられた。一見便利な世の中、世界は一つになりつつあるが、何か失われている。それを映像でどう具体的に出せるか、挑戦である。
(つづく)
   


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