「私的フォトジャーナリズム論(1)」

 米国東部ボストンに滞在中の97年9月、ジェームズ・ナックウエイ氏の写真展に足を運んだ。ナックウェイ氏は現在、世界で最も優れているフォトジャーナリストの一人と評価されている。彼の写したイメージを、ひとつひとつじっくりと見た。身体と頭が熱くなる。展示会で感動し、身体が熱くなったのは初めての経験だった。やはり、写真集と写真展示は違っていた、
 9月ともなると、ボストンは寒い時期。写真展の会場の外の空気は冷たい。帰り道、体が火照った私は、上着とシャツを脱いで半袖になってしまった。道行く人が私を振り返る。私は感動していた。こんな写真が撮れるのか、と。その時、写真の力を感じた。


 ナックウエイは自ら、「私たちは世界を変える力がある」と言い切る。彼の写真は私に自信を与えた。写真は人を感動させうる存在だ、と。彼の言う「社会を変える」とは、具体的にどうか分からないが。最低限、私という人を動かしたのだ。

 


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