第3話 「アイコンタクト」

 仕事と言葉に慣れてくるに従って、僕はだんだんお店の人達の仲間に入れてもらえるようになりました。
 「MORIO、もてたかったらキーワードは、アイコンタクトよ。」
 これはキャシーズ(僕の働いているマッサージパーラーをとりあえずそう呼ぶことにします)の女の子達が休憩室でよく口にしている言葉です。
 「もてるって、キャシーズで、もてたかったらってこと?」「そう、キャシーズでもどこでも、もてたかったらアイコンタクト」そう答えたのは、レセプションのドロシー。「言葉が通じなくても、目と目でわかりあえることってあるでしょ。MORIO、こういうところに来て、

今日はどこへ行ったとか、夕食は何食べたとか、どんな車に乗ってるとか、カジノでいくら勝ったとか、そんなこと言ってみたって始まらないじゃない?それよりも、ゆったり腰掛けて、自分のタイプの女の子にそっと、アイコンタクトしてくるような男の方が、彼女達にとっては断然いい男に映るわよね。」


 


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