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あなたの言いたいこと
Vol.171/2012/04

「喉頭がん」

 シェアオーナーのキムの喉頭がんが見つかったのは、今から14ヶ月前。化学療法と放射線療法がすぐさま行われ、食事も点滴に代わった。離婚し、2人いる子どもは母方に引き取られ、自分との2人暮らしだったキムの世話は、実の妹が始めた。自分は、キムが入院したり妹の家に居たりする間の家の管理を頼まれた。

 今思うと、彼が吸うタバコの量は尋常ではなかった。横を通り過ぎた時、体臭の一部となっていたタバコの臭いは強烈に鼻を突いた。人差し指と中指の間は黄色く変色し、指で火種を落とすため、人差し指の外側は固い皮で覆われていた。そして、「ビールなんか水と同じだ」が彼の口癖で、毎晩ウィスキーをストレートで煽っていた。

 そんなキムだが、良い意味で自分にとってのオーストラリア人は、まさにキムそのものだった。昼間から水代わりのビールを飲み、タバコをくわえながら土いじりをして、ソーセージを食べながら豪快に笑い飛ばす。ランニングに単パンで、年季の入ったキャップに安全靴。ただ単に剃り残しの髭なんだろうけど、それが妙にワイルドさを助長して。細かいことは一切気にしないし、誰にでも声をかけ、挨拶をする。人が集まれば、食事も飲み物も全てシェアして、「心配するな、気軽に行けよ!」も彼の口癖だった。

 「前兆はあった。でも、医者に行くのは昔から嫌いなんだ。実際、好きなヤツなんかいるもんか」と話す彼が家に戻ってきたのは、夏を目前にした10月上旬だった。一時期よりだいぶ調子が良さそうに見えたが、髪の毛が全て抜け落ち、普段はめていた入れ歯も外していた。お腹につけた管から栄養を補給し、一切食べ物は口にできず、家の中ではじっとしていた。僕の知っているキムではなかった。別人だった。薬のせいだろう、会話も一貫性を欠き、精神衰弱が手にとるように分かった。彼が帰ってきてから、彼のためにもタバコを吸うことを控えていた自分だったが、ある時、しまっておいた灰皿がテーブルの上に置かれ、中には吸殻があった。頭の中がひどく混乱した。キムが吸っている絵が想像できなかったが、間違いなくキムのものだった。

 年が明け、キムは再入院した。腫瘍の摘出のための外科手術が行われた。化学療法と放射線療法では良くはなっていなかった。加えて、術後に感染症を患い、再手術を受けた。キムは「バットで殴られたことはあるか?ないだろうな。俺もない。でも、その殴られた時の100倍の痛みが首から下に走った」と、一回目の術後の状況を話してくれた。そして、あんなに話好きのキムが「もう、誰とも挨拶はしたくなくなった。“元気か?”と言って今は元気でも、明日どうなるか誰にも分からない。挨拶は意味がなくなった」と話し、「お前、メシが喰えることがどんなにありがたいか、分からないだろうな。少なくとも、今の俺には分かる」と力なくつぶやいた。今のこの環境は与えられたものとして、まだしばらく、キムと向き合っていこうと思っている。

<投稿者>佐藤 35歳 男性




先月号(vol.170)の『シングルママ』を拝見して思ったこと」

 私は2児の母です。うちの子ども達が、幼い頃に彼の様なレベルの競い合いをしていましたよ。幼児って自分の意見の主張はするけど、相手の意見は聞き入れられないんですよ。常に“自分が一番!”じゃなきゃ嫌なんです。恐らくこの彼、視野や思考が極端に狭い方なんでしょうね。大人の前向きな負けず嫌いとは、ほど遠い感じです。中身はまるで幼児!残念な人です。幼児だから相手を受け入れる器なんてありませんよ。

 ただ、私が今回の記事で一番気になったのが、相手のお母さん。この彼が私の息子だったら、まずは“結婚する意志があるか”を確認しますよね。それで「無い」なんて言った日には「このバカ息子ー!なんで相手の子に辛い思いをさせるんだ!無責任にもほどがある」、「何やっとんじゃい!」って、まず自分の息子を責めるでしょう…。
 ま、こんな器の小さな男ですから、相手の女性が妊娠しても結婚する覚悟はないでしょうね。自立できていない男性と結婚すると大変ですよ〜。だって育児は、ただでさえ手がかかるのに自分のパートナー(大人)も手がかかるだなんて、お話になりません。

 まだ見ぬ未来の子どもを一人で育てる不安もあるのに“産む”と決めたあなたからは、既にお母さんの強さを感じます。現実を受け入れ、前へ進むあなたをたくさんの人が応援してくれるでしょう。育児は大変なこともあるけど、産んで良かったと必ず思うはずです。

 最後にこの彼に一言。
 「ちっちぇー男だな!まったく(笑)」

<投稿者>匿名希望 30代 女性