Japan Australia Information Link Media パースエクスプレス

シリーズ連載第2弾 「父親な俺様」

 

最終回 終わりだ、このヤロー


 実は俺様の自慢の一つは、人生で今までたった3本しか白髪が 無かったことである。周りの友人の髪が薄くなったり、白くなったりしている中、俺の髪はちゃんと健在しているのだ。それがさ、こないだヒゲ剃っててふと気が付いたら、俺のアゴが白黒の斑模様なんだよ!そう、俺様は知らず知らずのウチに頭より先にヒゲと鼻毛の白髪が爆発的に増えていたのだ。やっぱ2人目が生まれてからずっと忙しかったからなあ、父親ってつくづく大変なのね。
 しかし、結婚してなかろうが無職だろうが、子供ができたら誰でも父親と呼ばれるんだからな、怖いもんだ。その昔、リーチかけたおネエちゃんにも逃げられ、大酔っ払いで最終電車も無く、気が付いたら所持金が200円で、道端で寝たりゲロ吐いたりしつつ何時間もかけてウチまで歩いて帰ったこんな大馬鹿な俺様でも、気が付いたら2児の父親だっつーんだから恐ろしい。

 誰も別にそう思っていないとは思うが、俺は決して最高の父親ではない。こないだも間違って恵蘭の指ドアにはさんで潰すところだったし(生爪はがれただけで済みました。ギリギリセーフかな)利阿武を背中に背負って庭いじりしてたら、知らない間にその辺の有毒っぽい木の葉を片っ端からむしゃむしゃ食べてたし(速攻で友人の医者に電話しました。マジ焦りました)。
 でもな、金は無くともこの子供達には、せめて愛情はたくさん注いでやりたい。たとえ2度と会えなくとも、いずれ巣立った時には1人の人間としてしっかりと生きて、必ず幸せになってほしい。世界中の誰よりもこの気持ちが強いことが、俺様がこの子供達の父親である何よりの証なのだ。そして、その証があるからこそ、同時にこの子供達の将来に最も責任があるのだ。
  これから、ケンカばっかりで全然勉強とかしないかもしれない。イジメられるかもしれない。万引きするかもしれないし、火遊びで倉庫燃やしちゃうかもしれない。10代で彼女を妊娠させちゃうかもしれない。でも父親ならそういう現実から逃げずに子供と一緒に悩まなきゃならない。いや、子供の起こす問題ってホントは全然親の責任じゃないことも多いんだけど、こういう現実と向き合わなきゃいけないことを拒否したら親である意味が無くなってしまうと思う。子供と一緒に笑って、子供と一緒に悩んで、時には怖い顔で子供の前に立ち塞がるのも父親の役目なのだ。ちょっとつらいけど。
  俺様は父親として今もまだ修行中である訳だが、別に良くできたからといって誰が褒めてくれる訳でもない。むしろ、その過程では非難されることの方が多いだろうし、自分の子育てが成功だったかなんて、結果を知ることは無い。なぜなら、子供の幸せは手元を離れる時点ではなく、その後にどんな人生を送ったかどうかで分かるもんだと思うが、普通なら父親の方が一足先にこの世からおさらばだからな。子供の長生きも、また親の幸せなのだ。

  ある有名な剣豪は、剣の修行を例えて「行く道は違えども、見上げる空は一つ」と言った。つまり流派や修練の方法は違っても、誰もが目指している剣の修行を通じてたどり着けるかもしれない人間としての高みは同じであるということなのだが、それって子育ても同じじゃなかろうか。親は皆違った環境で、それぞれ違ったやり方で子供達と一緒に人生を歩んでゆく。しかし、結局は親が子供に望んでいるのは、人として恥ずかしいことのない、愛を持った立派な人間になってほしいということではないだろうか。少しぐらい勉強なんてできなくてもいい。運動が苦手だっていい。声無き者の声を聞き、弱き者の涙を恐れる、心の強い人間になって欲しい。少々大げさだが、子供達にはすばらしい人類の未来を作り上げてほしい。

 えー、暇な読者の皆さんにお楽しみ頂いたかどうかは知らないが、とにかくこれで俺様の足掛け三年の駄文による連載はおしまいだ(リストラの為)。本当に読者の皆様、最後まで誠に…、なんて挨拶はちっとも俺様らしくないので、とりあえず意味は無いがせめて最後に威勢良くシメるぞ。また俺様の叫びが読みたければ、編集部にメールの一つもよこせ。文句があったら全部編集長に言え!終わりだ、このヤロー!