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【新型コロナウイルス関連】パースで被害、ハッキングで脅して振り込め詐欺の “ーその後ー”



 
パースエクスプレス編集部に一通のメールが届いたのは5月18日。メールの内容は「5月12日にNBN社を装った銀行振り込み詐欺にあってしまいました」というものでした。そして先日、送り主のナオミさん(仮名)から再度メールが。以下がメールの内容です。
 

  【NBN社を装った銀行振り込み詐欺事件のあらまし】

被害者:ナオミ(仮名)。パース在住約20年。オーストラリア人を配偶者にもつ。
加害者:David(仮名)。自称NBN(National Broadband Network/インターネット回線)社でセキュリティー担当で働く従業員。アフリカの国の訛りある英語を話す。

NBN社の従業員を装った男、Davidがセキュリティーの問題でナオミさんのコンピュータがハッキングされる恐れがあることを電話で知らせる。ナオミさんはDavidの指示に従い、遠隔操作でセキュリティーの問題を解決するために『AnyDesk』と『Teamviewer』というアプリをコンピュータにダウンロードした。Davidはそのアプリで、ナオミさんのコンピュータの細部まで遠隔で入り込み、ナオミさんの銀行口座の詳細を入手して、細工を企てた。そして、言葉巧みにDavidは、ナオミさんに指定銀行口座へ$8,100を振り込ませた。

 
 
「5月12日に起こったNBN社を装った銀行振込詐欺事件ですが、8月6日にCommonwealth Bankの私と主人のジョイントアカウント(共同名義口座)に騙されたお金の全額$8,100が振り込まれました」

「8月6日から約2週間前にCommonwealth BankのFraud Team(詐欺対策チーム)の担当者より『残念ながら、お金は犯人から取り返せませんでした。よって、ナオミさんのところにお金を戻すことはできないでしょう』との連絡がありました。そして、その担当者は『この結果に対して“不服申し立て”をCommonwealth Bankにすることが可能です』と言い添えました。各銀行によってシステムが違うとのことで、他の銀行が同じように不服申し立て等の手続きができるかどうかは不明ですが、Commonwealth Bankはできるということでしたので私は主人と相談し、不服申し立ての手続きを行いました」

「その後、シドニーにいるCommonwealth Bankの不服申し立ての担当者が、私と直接話をしたいということで電話にて約1時間の質疑応答が行われ、何が起こったのか細かい点もお伝えすることができました」

「そして8月16日、豪州ビクトリア州警察より『ビクトリア州警察がこの詐欺事件について現在も調査中です』と電話とメールで連絡がありました。そのビクトリア州警察より連絡があった同日、Commonwealth Bankの不服申し立ての担当者から再度連絡があり、『今回の件を銀行内でも再度調査した結果、詐欺にあった$8,100全額、Commonwealth Bankが負担してお支払いすることになりました』とのお話でした」

「その不服申し立ての担当者がその電話口で教えてくれたのですが、銀行振込先の相手は以前、私と同じように銀行振込詐欺で騙された被害者で、“騙されたお金を取り戻せる”と黒幕の詐欺グループにそそのかされて銀行振り込みの仲介受取人になったそうなんです。この事実にも非常に驚きました。ビクトリア州警察は私を騙したその犯人と詐欺グループはまだ捕まえることはできていないとも言っていました」

「詐欺事件から3か月後、お金が戻ってきました。今回は本当に幸運だったと思います。Commonwealth Bankが詐欺グループからお金を取り戻せなかったので、私たちへお金を払い戻すことを拒否してきた時点では、不服申し立てをしても99%お金が戻ってくることは諦めていましたが、銀行内で再度調査して頂き、銀行側がある程度私たちの言い分を受けて頂いたので、決定が覆ったようです。Commonwealth Bankには本当に感謝しています。騙された当初、被害への対処法の相談にのってくれたID CARE(サイバー犯罪対策団体)の担当者からも『このような対応はどこの銀行も同じとは限らないでしょう』と話しておりましたし、主人曰く『銀行サイドには落ち度がないので、銀行がお金を払い戻す義務はないと言われるケースも多々ある』と言っていました」

「銀行と警察から朗報がくるまで“痛い人生勉強の一つだった、もうお金は戻ってこないだろう”と諦めかけていたので。今回、お金は無事戻ってきましたが、騙されたとわかった直後からの精神的な苦痛は(特に最初の1か月間は)非常につらいものでした。この経験を教訓に今後、更に詐欺等に気を付けなければと思いました。私の経験(この話)が、今後の詐欺事件を防ぐ助けの一つになればと思います」
 
 
まず、ナオミさんにはパースエクスプレスへの情報提供にこの場を借り、深く感謝申し上げます。そして、読者の皆さんにはナオミさんも当初おっしゃっていた「人一倍用心深い自分が引っ掛かってしまいました」の思いをもう一度思い返し、是非、詐欺に遭わないように注意して頂きたく思います。また、パースでの詐欺に関する以下の関連情報も合わせてご参照ください。
 
 
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関連情報:
●西オーストラリアにおけるNBN関連の詐欺に関する記事
https://thewest.com.au/technology/nbn/heartless-scammers-steal-100k-off-wa-family-as-nbn-co-issues-alert-over-two-new-scams-targeting-residents-ng-b881641041z

●NBN社からの注意喚起
https://www.nbnco.com.au/learn/protect-yourself-from-scams

●NBN社の「Remote-access scam」についての注意喚起
https://www.nbnco.com.au/blog/the-nbn-project/protecting-against-remote-access-scams

●西豪州政府の「WA Scamnet」より
https://www.scamnet.wa.gov.au/scamnet/Scam_types-Attempts_to_gain_your_personal_information-Phishing-NBN_Scams.htm

●豪州行政機関が運営する「スキャム・ウォッチ(新型コロナウイルス関連の詐欺を含む最新手口の紹介)」
https://www.scamwatch.gov.au/







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