オーストラリアと日本をつなぐリンク・メディア『パースエクスプレス』

第45回「オーストラリア代表と日本代表のW杯直前状況」

2018年サッカーW杯(ロシア大会)本番が約2ヶ月後に始まります。各国代表は本番の予選リーグで対戦する相手を想定したテストマッチを重ねています。我らがオーストラリア代表と日本代表も例外なく本番を迎えるにあたりテストマッチを組み、対戦相手の研究に余念がありません。そこで早速、恒例の質問です。

 

Q  3月に行われた両国のテストマッチそれぞれ2試合の結果は何勝何敗だったでしょうか?

 

A  両国共に1負1引き分けでした。結果は以下となります(今後のテストマッチの予定も紹介)。

 

 

<オーストラリア代表の3月のテストマッチ>
3月24日 ノルウェー代表戦 ● 1-4
3月28日 コロンビア代表戦 △ 0-0

今後の予定
6月1日 チェコ代表戦
6月9日 ハンガリー代表戦


<日本代表の3月のテストマッチ>
3月23日 マリ代表戦 △ 1-1
3月27日 ウクライナ代表戦 ● 1-2

今後の予定
5月30日 ガーナ代表戦
6月8日 スイス代表戦
6月12日 パラグアイ代表戦

 

 
残念なことに両国とも勝利がありませんでした。これらの結果を見る限り、筆者だけでなく読者の皆さんも両国の置かれている状況は芳しくないと感じることでしょう。
 
さて、今回の3月のテストマッチは両国共に新たな戦力を試す場としての意味合いが強く、結果は問われないように思われていますが、実は両国には致命的な違いがありました。
 
オーストラリア代表はアンジェ・ポステコグルー氏の衝撃的な辞任から、紆余曲折を経てようやくベルト・ファンマルヴァイク監督が就任したばかりで、前任者が軸にしていた選手達を中心に新たな戦力の発掘を急いでいるようです。ただし、日本代表に比べると本番までのテストの場が少ないです。ある程度、前任者の継続路線を取らざるを得ないでしょう。筆者はどちらかと言えば、ファンマルヴァイク監督は戦術家というよりモチベーターだと思っているので、本番直前のタイミングでは良い人選だったと思っています。同監督からは、ディフェンシブに戦うためのマイナーチェンジが施されると予想します。
 
一方、日本代表は本来、主軸になる人選は終わっているタイミングであり、バックアップ要因を充実させることがテストマッチの目的でしたが、ハリルホジッチ監督が主軸と考えていた選手がコンディション不良であったり、所属クラブにて不調であったり、出場機会を得られないタイミングの選手が多く、頭を悩ませているようでした。W杯最終予選のオーストラリア代表戦でみせてくれた「相手に何もさせない」サッカーが、機能不全を起こしていました。代表がこれまで示してきた相手の長所を消し、少ない手数で得点を奪うサッカーが本番直前のタイミングで「本当にその方向性が間違えていないのか?」と迷いや不安さえ感じさせてしまっています。
 
つまり、オーストラリア代表がマイナーチェンジで済むのに対し、日本代表は新たなモチベーションを見つけることが必要ということで、どちらかといえば日本代表の方が直面している課題が深刻であると筆者は感じています。両国ともにW杯本番は格上と対戦する以上、何かしらのイレギュラーを起こさなければグループリーグ突破が難しい中、現時点ではそのイレギュラーの要因を筆者は見いだすことができていません。さて、本番までの2ヶ月の間に両国に改善が見込めるのか?悪い意味で注目度が増してしまっています…。
 
追記:
4月9日、日本サッカー協会がハリルホジッチ監督の解任を発表しました。と同時に、後任は西野朗氏が就任するとも発表されました。明らかにカンフル剤投与が目的の交代劇です。筆者は、日本代表もそろそろ自国人が代表監督に選出されるベきだと述べてきましたが、まさかこのタイミングで実現してしまうとは…。このタイミングでの監督交代が、前述の課題でもあった日本代表への新たなモチベーションになるのか?筆者にとっては、甚だ疑問でもあります。日本サッカー協会の英断が良い結果をもたらしてくれることを切に願うばかりです。

 


【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/

 







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