難民ビザって?
先月、アフガニスタン人の難民(ボートピープル)が、オーストラリア領域のインド洋に数ヶ月停滞している所をノルウェーの貨物船により発見されたニュースを皆さんご存知の事と思います。
この事態にオーストラリア政府は、オーストラリア国内にすぐに彼ら難民を入国させない事、難民を他の国際連合国に移送する事を表明しました。そして、今後彼らが亡命を目的とした難民であるか、経済的な永住目的であるかを審査することになりました。つまり、ここで言えることは「経済的な永住目的」の避難者は難民として適格ではなく、そういった人達には難民ビザを発給することはできないということです。
今回は、難民ビザについてお話しましょう。
オーストラリアが難民を受け入れ始めたのは、1951年の国際協定と1967年の国際条約に調印してからになります。1951年の代表者会議において調印を交わしたのはたった6ヶ国のみで、最初にサインをしたのがオーストラリアでした。オーストラリアが協定に調印した後、他国が次々に同意し、その後、難民者であるか否かの選別方法を決定付けていきました。
それでは、難民とはどんな人たちを指すのでしょうか?
国際連合協定では、「政治、宗教、国籍、階級制度などの理由によって、自国において命が危険にさらされるため、自国に戻る気のない者」と定めています。難民は、はじめキャンプまたは連合国によって管理された領域(UNHCR)で保護され、審査にかけられ、難民として適格と審査された際に国際連合によって受け入れ国が決定されます。国連の規定において、難民は職を得るための職業訓練や子供が教育を受けるための機会、つまり難民先の国民と同等の義務を受ける事ができるのです。しかし、彼らは永住者として扱われませんが、オーストラリアは1993年11月1日付で、難民に永住権を与える規定に同意しました。
近年、難民の受け入れにオーストラリア政府への批判が世論から沸き起こりました。この受け入れが非合法であったと思われた結果、国民からこのような批判を受けることになったのですが、結果的には合法だったのです。ではどうしてこのような事態が起きてしまったのか、以下のような理由が考えられます。
出入国管理局によって亡命を拒否された人たちが、再審査機関による審査を受けることが可能で、また、もしその機関でも難民として認められない場合、さらにオーストラリア最高裁判所に上訴する事ができます。しかしながら、このようなシステムをオーストラリア政府は懸念しているのです。オーストラリア最高裁判所の決定は、たびたび国連の決定と異なるからです。このような決定の食い違いは、国民へオーストラリア政府の不信を招きかねません。よって、政府は難民をオーストラリア国内に入れることをせず、国連の決定に委ねることにしているのです。上記の世論もこの政府と最高裁判所の相違から引き起こったことと言えるでしょう。
もちろん、日本人の皆さんは自国の生活水準を考慮された上でも、当然難民申請はできません!
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