先月9月11日の総選挙では、小選挙区が67.51%、比例代表が67.46%の投票率で、いずれも過去最高の数字となった。これに対し、5回目となった在外選挙での投票率は実質3%。これには、現在の在外選挙制度における問題点が背景となっている。
選挙権は国民に平等に与えられた権利。しかし、現在の法律では、在外邦人に認められているのは国政選挙の比例代表における投票のみで、地方選挙への投票はできないことなどが問題とされてきた。この実情に対し、1993年からオーストラリアやアメリカ、ブラジルなどの在外邦人によって在外選挙権を求める活動が活発化。1996年には、海外5カ国に住む在外邦人ら13人が「公職選挙法にある在外邦人への選挙権制限は憲法に反する」として、在外選挙権の確認や投票ができなかったことに対する損害賠償を求め、国を相手に訴訟を起こしていた。そして9月14日、最高裁は公選法を違憲とし、国に1人当たり5000円の賠償を命ずる判決を言い渡した。
この判決によって、在外邦人の選挙への道は開かれた。しかし、海外に短期駐在している企業人や、短期留学生に対する選挙権が認められていないなど、地方選挙への選挙権に関わる問題も含め、今後の課題は山積みとなっている。
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