衆議院をわずか5票差で通過した郵政民営化法案は、8月8日、参議院本会議採決で否決された。投票総数233票のうち、賛成108、反対125。これにより小泉首相は、郵政民営化の国民の是非を問うと衆議院解散を決定。8月30日公示、9月11日に総選挙が行われることになった。
7月31日、特定郵便局長OBらによる徳島県自民党大樹支部総決起大会が開催。「郵政民営化反対」とこぶしを挙げる約300人の支部関係者を、まだ賛否を決めていなかった小池正勝参議院員は固い表情で見守った。また、郵政民営化関連法案に反対を示した元郵政相を妻に持ち、衆議院郵政特別委員長の政策グループに所属する和歌山県選出の鶴保庸介氏も「妻か派閥か」の板挟み状態になる。8月1日には、自民党永岡洋治衆院議員の首つり自殺というニュースが世間を揺るがした。
今回否決となった郵政民営化だが、米国政府やIMF(国際通貨基金)は「日本最大の貯蓄機関の民営化は民間金融機関と公正に競争するため」「高齢化による経済成長の減速を止め、日本の生産力を高めるため」に必要と積極的に賛成している。一方国内では、民営化後の貯金、保険サービス、ネットワーク、全国均一サービスの維持に対する懸念、郵便局の廃業の増加、巨大な金融機関出現による他の金融機関の危機などが、反対理由として挙がっていた。
衆議院では、郵政民営化関連法案反対の風が強まる中、小泉首相は参院で否決された場合の衆議院解散を示唆。自民党員、賛成派、反対派から「郵政民営化が参院で否決後、衆院を解散することは許されない」「首相は解散権を乱用している」「衆議院解散で空白期間を作るべきではない」など衆議院解散を阻止しようとする発言が相次いだ。
そして、参議院本会議採決で郵政民営化関連法案が否決された夜、小泉首相は衆議院解散を決定。2003年10月以来、1年10ヶ月ぶりの解散となった。もし11日の総選挙で自民、公明が過半数割れするようになれば小泉首相は退陣に追い込まれる可能性もある。8月10日時点で、小泉内閣支持率は46%で1ヶ月前の調査より9ポイント増加。今回一連のニュースで小泉首相は郵政民営化を看板に立てたイメージが強いが、靖国神社参拝などの問題も抱えており、一面だけをとらえては危険だとの見方もある。
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