国 際
  西オーストラリア州首相ギャロップ氏 日本を訪問
 
西オーストラリア州首相  ジェフ・ギャロップ氏 在パース日本国総領事館公邸にて
 

 7月4日から日本を訪問している西オーストラリア州首相、ジェフ・ギャロップ氏と経済使節団の出発を前に、6月30日、在パース日本国総領事館公邸にて歓送レセプションが開催された。

 西オーストラリア州と日本間における、経済面・商業面での関係強化を目的とした今回の訪日だが、7月4日に東京に到着したギャロップ首相率いる経済使節団は、同日行なわれたセミナーで、バイオテクノロジーや通信工学における西オーストラリアの優れた点を言及。また、会場を埋め尽くすビジネスマンを前に、西オーストラリア州が持つ資源の豊富さや、実績を持つ農産業についても、引き続き良好な状態を保っていると語った。

 ギャロップ首相らは続く7月5日、東京都港区にある東京アメリカンクラブにて開かれた西オーストラリア州産ワイン試飲会に出席。会ではギャロップ首相の講演と共に、ポール・コンティを始めとする西オーストラリア州ワイナリーのワイン・テイスティングが催された。また同席上では、女優の生田智子さん、国際的フルート奏者の山形由美さんの“西オーストラリア州ワイン親善大使”の任命式も行なわれた。日本は世界第4位のワイン輸入国であり、今後1年間、生田さんと山形さんは、西オーストラリア州産ワインの宣伝活動を行なっていく。

 現在愛知県では、世界各国から121ヶ国が参加する「愛・地球博」(〜9月25日まで)が開催中だが、ギャロップ首相と経済使節団は今回の訪日で、この博覧会場内オーストラリア・パビリオンでの「西オーストラリア州の日」のイベント等にも出席した。この「西オーストラリア州の日」は7月6日〜8日の3日間にかけて行なわれ、期間中、パビリオン内には西オーストラリア州をテーマとした絵本コーナーの設置や、西オーストラリア州出身のジャズバンドの演奏等が披露された。

  7月6日には、同月3日に知事選挙で当選した新兵庫県知事、井戸敏三氏を表敬訪問したギャロップ首相。同氏と行なった懇談会では、現在、オーストラリアで論争が繰り広げられている捕鯨問題に触れ、日本政府が推し進めている調査捕鯨に対して、西オーストラリア州が反対の意思を持っていることを伝え、捕鯨反対を強く訴えた。

 
社会
  西オーストラリアで食品原産地表示の動きが広がる
 
原産地表示は不可欠と訴えるThe West Australianでのキャンペーン最初の記事(6月16日)
 
捕有機栽培野菜をアピールする The West Australianの記事(6月28日)
 

食品の安全性への声が高まる西オーストラリア。 The West Australian紙で展開する 食品原産地表示キャンペーンに関する記事の流れを追った。



6月14日(火) 店頭食品の詳細を
 食品の詳細を知るため、ラベルに原産地を表示すべきと主張。他国での実施例を挙げるも、しかし全ての実行は難しいとする見方も述べた。また、関係者の「西豪州の消費者と農家を原産地表示によって守るべき」との意見も掲載。

6月15日(水) 危険薬物が輸入乾燥食品から検出
 発ガン性物質を含むことから豪州では使用禁止のDDT等の危険薬物を、南アジアから輸入した乾燥食品から検出と報道。

6月16日(木) 生産地の表示は極めて重要
 西豪州青果生産者組合代表のDiane Fry氏は、消費者が生産地の表示義務をFSANZ(※)へ求めることにより、西豪州の青果等の産業を支えることが出来ると述べた。

6月17日(金) 基準違反の豚肉店頭に並ぶ
 連邦裁判所は、去年7月1日以降、海港検疫が基準を緩和したことを認め、本来輸入すべきでない豚肉が輸入され、今だ店頭に並んでいると述べた。これに対し農務省のTruss氏は「海港検疫をただ批判しているだけ」と議会で反論。また同紙内では西豪州漁業者が、食品原産地の表示に対して「FSANZはもっと真剣に取り組むべき」と主張。

6月18日(土) 地元産ニンニク、危機に直面
 西豪州青果生産者組合により、単価の安い中国産ニンニク輸入に伴い、地元産ニンニクの生産量が減少していると判明。現在、市場に出回る99%のニンニクが中国産だという。

6月20日(月) 養蜂業界にも影響
 西豪州養蜂者団体は、政府が生産国の表示義務へ乗り出さなければ、安価なアジア・南アメリカ産ハチミツの輸入で、西豪州養蜂産業は打撃を受けると述べた。

6月21日(火) Truss氏発言に批判
 農務省のTruss氏は議会で「全ての輸入青果は原産国の表示がされている。消費者が自己責任で選ぶべき」と発言。多くの農業関係者が、氏の発言には大きな勘違いがあり、現状を把握していない大臣がいることも食品原産地表示問題の更なる問題だと述べた。

6月22日(水) 政府の意見、民間の声
 経済協力開発機構の調査を掲載。発展途上国からの安い輸入食品のために野菜などの食品価格が低下していると訴えた。同紙内では、西豪州の青果と家畜業の危機の原因は、大手スーパーの心無い経営と政府が批判。また農務省のTruss氏は、未包装でも生鮮食品の原産地表示は義務付けられており、実施を促さない自治体に責任があると発言した。一方で、西豪州首相Gallop氏は、西豪州政府が食品原産地表示へ向けて動くことを表明。

6月23日(木) Truss氏への批判再び
 Gallop氏が食品原産地表示の改正案議会へ表示の実施を働きかけていると報道。その一方、食品原産地表示問題は西豪州政府の責任としているTruss氏に対し、原産国を明記する国レベルでの法律を作るべきとの関係者の意見を載せた。

6月24日(金) キャンペーンに200万ドル寄付
 野菜生産者が食品原産地表示キャンペーンに合計200万ドル寄付をしたと報道。生産者の「原産地表示は絶対にして欲しい」「輸入食品にも安全確保のための厳しい基準を作って欲しい」等の声が掲載された。

6月27日(月) 原産地表示は国全体で
衛生局関係者のFong氏は、食品に関する原産地表示問題で政府の対応がいい加減と同紙に語り、西豪州だけでなくFSANZにより食品原産地表示の法律を可決し、国全体で実施されるべきとの声があがっているとした。

6月28日(火) FSANZ、生産者表示認めず
 FSANZの「原産地表示は必須ではなく任意でやって欲しい」との回答を農務省のTruss氏が代弁。しかし、28日の時点で生産者表示を訴える35,000通の署名が集まっており、同紙では原産地を知る権利を主張したい市民は地方自治体に訴えが可能と述べた。また、大手スーパーWoolworthsによるAction買収の動きを受け、西豪州の野菜生産者が団結した記事も掲載した。

6月29日(水) 漁業にも表示必要
 28日、FSANZが西豪州漁業の主張する魚介類の生産国表示の義務化を却下したと報じた。西豪州漁業協会のSteven氏は、「生産国の表示の義務化無しでは、豪州の海産物は輸入品と見分けられず不公平だ」と反発。

6月30日(木) 表示の必要性無し
 保健省大臣のMcGinty氏は29日、青果の原産地は問題ではないと発言。

7月4日(月) マクドナルドの牛肉は他州から
 西豪州のマクドナルドでは年間150万kgの牛肉を消費しているが、その全ては西豪州産ではないことが判明。また、ハングリー・ジャックスは西豪州産の牛肉と鶏肉のみを同州内の41店舗で使用していると述べた。

7月7日(木) 西豪州初、Cockburn生産地表示へ
 6日、Cockburn市は西豪州で初めて、大手スーパーColesとWoolworthsで原産地を表示すると発表。これを受け、「我々には青果の生産地を知る権利がある」と農務大臣のChance氏。

7月8日(金) 大手スーパー、ようやく動く
 西豪州のWoolworthsやColesなどのスーパーは7日、全ての青果への生産国表示へと動き出した。しかし、国内産については生産地の表示までに至ってないため、今後も生産地表示への声は続くものと見られる。

※FSANZ(豪州・ニュージーランド食品基準機関)…豪州とニュージーランド国民の安全と健康を、食品の安全維持により保護することを目的とする豪州の政府機関。

   

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