国 際
  日本の捕鯨拡大に批判の声
 
西豪州首相Gallop氏の捕鯨反対意思を伝えるThe West Australian。
 
捕鯨は調査目的という日本側の主張が掲載される。
 
紙面上でも捕鯨反対の署名活動が行われた。

日本政府が、今年末から調査捕鯨の数を倍増、規模を拡大する計画を明らかにしたことに対し、捕鯨反対国であるオーストラリアで強い反発が起こっている。
 事の発端は、4月。日本政府がこれまで南極海で行なってきた調査捕鯨の対象であるミンククジラの捕獲数を現在の440頭から880頭に増やし、更にナガスクジラとザトウクジラを新たな捕獲対象とする調査捕鯨計画を決定したことにある。この捕鯨問題に関してオーストラリアのTVや新聞などのメディアは連日報道。クジラ論争はオーストラリア国内でヒートアップしている。
 以下は、パース地元紙「The West Australian」「Sunday Times」に掲載された捕鯨問題に関連する最近の流れを抜粋したものである。



5月24日(火) 「The West Australian」紙
 西オーストラリア州知事、Gallop氏が捕鯨反対運動に参加すると表明。7月に予定されている訪日時に、西オーストラリアの捕鯨反対意思表示を示す考えであると語る。環境省のCampbell氏も捕鯨反対活動に協力を惜しまないとし、「日本が調査対象種を増やしたことにより、オーストラリアが日本の調査捕鯨に反対しやすくなった」との見解を示した。また同紙面上では、日本の捕鯨に対する読者からの手紙の内容を掲載。


5月25日(水) 「The West Australian」紙
 豪首相ジョン・ハワード氏が、日本の小泉純一郎総理大臣に対し、捕鯨反対を訴える手紙を送ったと報道。「日本の商業捕鯨には一切協力しない」「日本の捕鯨に対する立場をもう1度考えてほしい」と、強く捕鯨反対を訴えるハワード氏の手紙内容の一部が掲載された。野党党首のKim Beazley氏はこれに対し、「日本はこの手紙だけでは方針を変えないだろう。国際司法に持ちかけるべきだ」と発言した。


5月26日(木) 「The West Australian」紙
 「日本の食文化と習慣の違いを理解して欲しい」とする日本人、「リサーチの理由がはっきりせず反対だ」とするオーストラリア人双方の、捕鯨に関する意見が読者からの手紙欄に掲載された。


5月27日(金) 「The West Australian」紙
 ハワード首相が小泉総理大臣に宛てた手紙の内容に対し、「オーストラリアは日本を誤解している。クジラの肉を好む日本人は少なく、スーパーに行っても手に入るものではない」と上田大使が発言。オーストラリアもカンガルーの肉を食べる、と食文化の違いについても述べた。日本側が捕鯨拡大は研究目的であると強調する一方で、共同船舶会社の捕鯨船がオーストラリアの保護海域で漁業をしていることに対し、措置をとりたいオーストラリアだが、法的に困難な状況にあるとも報じた。


5月29日(土) 「Sunday Times」紙
 意見欄に「野蛮な人間が生態系を崩し、地球環境を破壊している」と批判の声。


5月30日(月) 「The West Australian」紙
 西オーストラリア州知事Gallop氏が、姉妹都市である兵庫県知事に捕鯨を止めるよう説得する手紙を書いたと伝えた。手紙でGallop氏は「オーストラリアでは捕鯨を禁止し、保護していること、ホエール・ウォッチングが人気であること」を反対理由に挙げたとのこと。昔捕鯨で栄えていたアルバニー市は、1963年に捕鯨が禁止されてから経済的に大きなダメージを受けたが、それ以来クジラを増やす努力をしてきたとし、「クジラを殺すことはどんな理由でも正当化されることはない」とアルバニーの住民は批判的に語った。またアルバニー市は、姉妹都市の群馬県富岡市に手紙を書く予定とした。


6月3日(金) 「The West Australian」紙
 バセルトンでクジラ100頭が座礁、保護された記事が大きく掲載。オーストラリア環境省のCampbell氏が、ヨーロッパで、日本に対し緊急に捕鯨を止めるよう協力を求める活動を行ったと報じた。


6月7日(火 )「The West Australian」紙
 日本側が、研究捕鯨の理由を説明。南極海域ではミンククジラの数は平行しており、ザトウクジラ、ナガスクジラが増殖していると述べた。これに対し、「クジラのことを思うなら、なぜ大量に殺すのか?」とオーストラリア側の主張が掲載された。


6月8日(水) 「The West Australian」紙
 南太平洋諸国で捕鯨反対活動をしているCampbell氏が、ソロモン諸島の協力を確認したと報じた。ヨーロッパ、ニュージーランドなど、環境を第一とする考えを持つ国からも既に協力を得ているとするCampbell氏は、「鯨が殺されるのを見たい人はこの世にいないはずだ」と述べた。
   

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