進入防止のテープを乗り越えると、パトロールカーの脇をすり抜け照明灯に照らし出された一番奥のシャッターを目指して、まっすぐに進んで行きました。2つ目のシャッターを過ぎたとき、気がついた警察官の1人が「おい、入ってきちゃ駄目だ」と怒鳴りながらモーレツにタックルをかましてきました。
 警察官は、逃れようとあがく僕を羽交い締めにして抑えると、進入防止テープの外に放り出すようにしながら「今、取調べ中なのが分からないのか?今度こんなまねしやがったらおまえも署までしょっ引くからな」と言い残して、パトカーのむこうに戻って行きました。

  「待ってください、友達が中にいるんです。」
  僕の声に答える人はいませんでした。

 「どけっ。邪魔なんだよ、ほら。」
 気がつくと、倉庫の入り口のあたりが急に騒がしくなりだしました。

 

 戻って来たさっきの警察官が僕を押しのけながら、パトロールカーの無線を使って連絡を取り始めました。
  “被害者は所持していた運転免許証からキングスクロス在住ジェザ・ダニエル34歳と判明。死因は至近距離からの頭部を貫通した銃弾によるもの。加害者は本人の自供から本署殺人課の元刑事、チャーリー・ミッチェル41歳。犯行に使われた銃は、S&W社製リボルバー38口径チーフスペシャル。凶器は倉庫に突入後、シティイーストの警ら隊員が直ちに押収しています。なお、加害者は右太腿に被弾し、かなり出血をしており、けがの回復を待って引き続き取り調べを行う予定です。”

 警察官と救急隊員に囲まれて、最初の担架が運ばれて来ました。見覚えのあるチャーリーのシャツが夜明けの光に浮か「行け!おまえ達、こんなところにぐずぐずしてるんじゃない。」び上がって見えました。

   


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