「ねえドロシー、最近チャーリーすごく変わったと思わない?」
「MORIO、あなた人が悪いわよ。始めからそれを聞きたかったんでしょ?やっぱりほっとしたんじゃないかしら。」
「ミミが帰って?」
「まあ、帰ったのは寂しいでしょうけれども、帰る理由を作ったのはチャーリーの方だからねえ。」
「でも、彼女が帰る前にいっしょに食事した時には、チャーリーのこと何も言っていなかったよ。」
「そりゃ、2年も前に別れた旦那なんだから、今さらMORIOに愚痴を言ったってしようが無いでしょう?」
ドロシーは吸っていたタバコをもみ消すと立ちあがりました。
「それでMORIO、教えて欲しいことってそれだけ?」
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「いや、ドロシー、もういいんだ。」
「そうよ。よその人のことにくちばしを入れるなんてあなたらしくないわよ。ミミが言っていたわ。あなたには将来を感じるって。」
ドロシーは白い歯をみせて僕に笑いかけてから、レセプションに戻っていきました。
仕事が終わってバチェラーに帰ってからも、ドロシーの言っていたことが頭から離れませんでした。思いがけず知ってしまったチャーリーの過去から、それまでてめえのことばかり考えていた自分が、どうしようもなく情けない人間に映りました。
チャーリー、この借りは必ず埋め合わせるよ。誰にとも無くひとりつぶやくのが、今の自分には精一杯でした。
つづく
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