そのころすでに母は、心労が重なって病院に入院していました。それまで2人で暮らしていたアパートでの生活は、母が細々と働いた収入でまかなっていましたから、病院での費用や母が続けていた兄達への送金、それに自分自身が生活していく上での最低限の収入を考えたとき、当時の私に仕事を選ぶ余地はもうありませんでした。
  昨年、その母を失ってからは心の支えも無くなってしまい、ただ荒れた生活だけが残って悪い薬にも手を出す始末で、最後にはここであんな醜態をさらすまでになっていたのです。
 MORIO。
 あなたの一途な生き方が私の支えです。あなたを見ていると遠い昔に忘れてしまった子供の頃の、

まだ父も母も兄達も元気だった貧しいけれどもみんなが輝いていた時代に、また戻れる気がするのです。
  勝手な話ばかりしてしまってごめんなさい。 最後にひとつだけお願いがあります。
  どうか、決して私を探さないと約束してください。 これは、あなたが考えているほど簡単なことではないのです。 いつか、私から連絡します。 それまで、待っていてとは言いません。 さようならも言わないつもりです。
 MORIO。 あなたの愛情と献身がわたしを以前のまだ夢を持っていた頃に連れ戻してくれているといったなら、あなたは喜んでくれるでしょうか? からだに気をつけて、無理をしないように。

                YOUR M

つづく

   


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