悲しみから喜びへ、憎しみから慈しみへ、手垢に汚れていない真っさらの瞬間が、荒波のように打ち寄せ続けているのでした。
そんなMADISONの世界を一日でも長く旅していたいのなら、僕という旅人はもっと、もっとタフでなければなりませんでした。
そうして初めて深い谷も、高い頂きも知ることが出来る気がしました。今の、この理由の無い幸せは、その高い頂きのひとつに違いないのでした。
ふと、彼女はこれからどうするのだろうと思いました。僕の部屋でもう少し身体が回復するのを待ってから、また以前の生活に戻るつもりなのでしょうか。
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着替えも何も持っていなかったことといい、遊びに来ているうちにもしかしたら突発的にひどい禁断症状に襲われてしまったのかもしれませんでした。
「よぉ、色男。おまえ、惜しいことしたよなあ。」
休憩室にやって来たチャーリーが10周年のパーティーのことを得意げに話し始めました。あの晩は女の子だけで30人は来ていたそうなのです。
「それも、世界中の美人を全部集めたみたいな豪華さでな、ピラッピラのワンピース一枚で、みんな腰をくねらせたりしてやがって、見るだけでも価値がある眺めだったぜ。」
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