日本では、雪印事件(2002年1月)より、食品ラベルの偽装表示が大きな問題となり、今も消費者側は不安を抱えている。食品ラベル表示に関しては、生産者側はJAS法に従って、規定内容の表示が義務付けられており、生鮮食品には「名称」、「原産地」が表示されなければならないことになっている。また昨年の5月にはこれまでの「消費者保護基本法」が36年振りに改正され、「消費者基本法」に生まれ変わった。これにより消費者は保護される立場から自立して事業者に働きかけ、事情の説明を受ける権利を持てるようになった。これまでの、怪しいものは買わないという立場から、怪しいものは事業者から説明を受けることができるというわけだ。

食品のラベル表示によって、消費者は食品の選択ができるようになるが、それにより、地元の生産物を購入し、地元の生産者をサポートすることも可能になる。だが、消費者が地元の生産物を信頼すれば、排他的になり、他の業者がダメージを受けることにもなる。結局、これらは消費者の意識の問題に関わってくるだろう。高くても安全と思われる地元産を選ぶのか、少々不安でも、安い輸入品を購入するのか。一般に消費者は見た目に美しい野菜を選び、形の悪い、虫が食ったような物を嫌う。しかし本当はどちらが安全なのだろうか。地元産といえども、どこまで信頼できるのか。生産者は消費者の好みに合ったものを作る、ということを考慮しなければならないだろう。筆者は近い将来、高くて、見た目には、とても美しいとはいえない生鮮食品のコーナーが店頭に出る時代になると考えるのだが。 豪日の食品基準についての詳細は、FSANZ(www.foodstandards.gov.au)、JAS法(www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/jasindex.htm)を見てほしい。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 

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