パースエクスプレスVol.133 2009年2月号

昨年、米国より始まり、今や世界的に拡大した大恐慌だが、今年になっても復活の兆しは見えず、世界各国、大きな打撃を受けているのはご承知のことだろう。日本では、毎日のように企業の赤字、従業員の解雇といったニュースが流れ、国民の不安は募るばかりである。ここオーストラリアでも、昨年より大手企業の大規模な人員削減が次々と行われ、失業者が増大している。このまま進むと、来年には失業率が7%まで上昇するといった予想が出ている。今回は、このオーストラリア内での深刻な失業問題に触れてみよう。

ことの始まりは米国のサブプライムローン問題からだったような気がするが、その後の大手証券会社の破綻から3大自動車会社の危機に至るといった、かつての世界大恐慌以来とも思える大不況に陥った米国だが、世界経済の拠点となる米国が傾けば、当然世界は混乱することになるのだろう。世界をリードする日本の自動車会社も販売台数は急落し、これまで巨額を掛けて参戦していた各自動車レースから次々と撤退するという無残な状況だ。ここオーストラリアでもカンタス航空が昨年、社員1,500人を解雇したほか、各大手資源採掘会社でも数千人単位での社員解雇を実施した。「オーストラリア政府は、来年には失業率が7%に達し、約80万人が失業するといった予測をしている(2月4日、The Sunday Times、 online)」といった内容からも分かる通り、今後、状況は更に厳しさを増すようである。コモンウエルス銀行の経済学者であるマイケル・ワークマン氏は「この現実から判断すると、現在の失業率4.6%から7%までの急上昇は何も特別なことではない」と述べており、90年代の不況時と類似していることを挙げている。かつてのポール・キーティング政権時代の失業者100万人に迫る勢いとなるのだろうか。2年前の不動産バブルから一転したこの状況は、あまりにも極端すぎる。それにしても、ここの人々にあまり焦りが見られないのは、やはり国民性なのかもしれないな。超楽観主義なのか。

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