パースエクスプレスVol.129 2008年10月号

9月6日、西オーストラリア(WA)州で州議会選挙が実施され、接戦の末、後日、コリン・バーネットを代表とするWA州自由党が国民党の支持を受け、連立与党となった。これによりアラン・カーペンター氏を党首とするWA州労働党が破れ去ったわけだが、これと同時にビジネス界にちょっとした変化が表れ始めた。以前、当コーナーでも紹介したが、反ウラン政策をとり続けてきたWA州労働党からウラン推進路線のWA州自由党への交代により、国内外のウラン関連産業がWA州に向けて行動を開始したのだ。これからWA州はどうなっていくのだろうか。今回はこのウランを巡るWA州の状況を紹介しよう。

WA州労働党党首のアラン・カーペンター氏は、以前、自分が州首相である限りWA州内のウランは地下に留める、というコメントを残した。これにより、資源採掘関連業はウランに関しては目を瞑らざるを得なかったわけだが、今回のWA州新政府樹立により開眼し、「WA州のウラン開発は、WA州自由党のウラン推進路線に元気付けられた採鉱業者により、すでに始まっている(9月15日、The West Australian、on line)」という状況に至っている。とかくオーストラリアで論議を呼ぶテーマとなるウラン問題だが、これまでの政策から一転して、ウランブームの前兆となりつつある。ウラン関連株は上昇し始め、ビジネス界でちょっとした注目を浴びている。採鉱開発業協会会長のジャスティン・ワラウスキー氏は、WA州のビジネスにおける国際的評価はカーペンター首相の政策によって抑えられていたが、政権交代で新たに楽観的となった、と述べている。多種の鉱産資源が採掘できるWA州で、超目玉商品となるウランが新たに加われば、全世界が注目するのは当然だろう。近い将来には、石油に代わってウランが世界戦略の商品ともなりかねないな。原子力発電を名目にウランを欲しがる国も多いと思うが、裏で核兵器を作るような国もあるだろう。売り先をよく考慮しないと、とんでもないことになってしまう。ウランを輸出するということは、世界平和の責任を担うことにもなる。原子力発電はクリーンエネルギーとも言われるが、問題が多いのも事実だろう。莫大なコストが掛かると言われる核廃棄物処理にどう対応していくのか。劣化ウランを兵器として再利用するにしても、武器、兵器製造を助長することになる。WA州にしても、採掘したウランを州内でどう輸送していくのか。住民の不安も募ることだろう。

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