そこで今回、WA州政府が施したのは、「上級教員には年間10万ドル(年間1,040万円/A$1=¥104計算)以上の給与を支給する(11月3日、The
West Australian)」という内容で、これまでの約7万5千ドルから大幅にアップされることになる。細かくいえば、ハイグレードのエリート教師やハードな学校環境で仕事をする教員に、特別手当が支給されるシステムを導入するというものだ。まあ悪く言えば、教師を引き留めるには給料アップしかないといった発想だろうな。しかし、これに対してWA州立学校教員労働組合議長のマイク・キーリー氏は、「このシステムは、大多数の教員には何も恩恵を与えない。何年にも渡って自分達の任務を遂行するため、懸命に仕事をしてきた教員達は無視されている」と反論している。一部の教員のみを特別扱いするな、ということだろう。結局、政府は労働組合との交渉を更に進めていく方針である。
さて、日本でも教師不足は問題となっているが、不足を補うために、指導力に乏しい者までが教師になっていることがしばしば指摘されている。人数さえ集まれば、その質は問わないといったところだろうか。指導力のある優秀な人材が教師にならないということになると、教育の荒廃は更に進んでいくことになる。早いうちにしっかりとした対策を打ち出さないと、将来的には能無しの国民ばかりとなってしまうな。
このままでいくと、豪日ともに「教師」はハイリスク・ハイリターンと考えられている他のハードな職業と同様に見なされるようになるかもしれない。教育に何の理念も持たないような者が、単に高給ということで教師になるようなことにならなければいいのだが。今回の問題では、政府と教師側がとことん議論して、教育というものをもう一度考え直した上で、結論を出してほしいものだ。
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