その結果、数千人の利用客が約1時間半復旧を待つこととなり、政府は翌日の朝の時間帯、同線の乗客に無料乗車を提供することで謝罪をすることになった。政府にとって今回のような大規模な公共交通機関の停止は前例がなく、全く予測がつかなかったそうだ。

さて、今回のように線路の工事が行われたり、電車に故障が発生した場合、日本ではどのように対処がされるだろうか。まず、工事によって電車が運休となった時は、ほとんどの場合で代行バスの運行が行われる。さらに東京などの都市部では、時間はかかるがいくつかの違う路線を利用して目的地に辿り着くことができるため、駅構内で乗り換え情報のアナウンスがある。日本の電車は民間会社が運営しており、通常の工事の影響に政府がアドバイスをすることはないのだが、もし何かしらの対応を政府が行うことになったとしても、パースのように有給を使って休むことや、徒歩や自転車で学校や仕事場に向かうことが良いということを薦めることはないだろう。 また、電車が事故や故障で遅れた場合、通常日本では該当鉄道会社が乗客に仕事先や学校に提出する遅延証明書を発行する。また、今年1月末からJRの一部の地域でこの遅延証明書をホームページから入手できるようになった。これは、時間厳守というルールが社会全体に根付いていて、不当な理由での遅れが会社全体の士気に影響する、と考える日本ならでは配慮なのかもしれない。

毎日時間に追われている多くの日本人にはない、公共交通機関の運休をポジティブに捉える考え方は、とてもオーストラリア人らしいと思う。そのような豪日2国間の文化の違いが、マンジュラ線の完成に必要だった今回の工事への対応をみても、顕著に表れている。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 


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