パースエクスプレスVol.107 2006年12月号

12月に入り、ここパースの街もクリスマスモードとなり、所々にデコレーションが施され盛り上がりを見せているが、そんな中で西オーストラリア州の住民すべてに関わったことといえば、12月3日より実施されたデイライトセービング(サマータイム)であった。デイライトセービングは、夏が近付くとともに日照時間が長くなることを考慮し、明るい時間帯を有効に使うことを目的とするが、今年から西オーストラリア州で3年間、試験的に実施されることになった。実は前回、失敗に終わっているだけに今回の実施がどういった効果をもたらすのか注目される。日本に住む人々には馴染みのないこのデイライトセービングだが、これを機会にちょっと一緒に考えてみよう。

 オーストラリアでは、西オーストラリア州とクイーンズランド州、中央部のノーザンテリトリーを除く各州と首都特別地域でデイライトセービングが実施されていたが、この度、州議会内での投票で賛成59、反対24という結果が得られたことにより、「何十年も続いた政治的喧騒と公共での議論の末、明日から西オーストラリア州で時計を1時間進めるデイライトセービングが実施される(12月2日、The West Australianより)」ということになった。正確に言うと、12月3日の午前2時が午前3時に変わるわけだが、3日は日曜日なので、ウイークデーとなる4日から本格的に多くの人々に影響が出るわけだ。

 さて、このデーライトセービングにはどんな効果があるのだろうか。新聞などで一般に紹介されているものとしては、「他州との情報交換が必要な人(ストックブローカーなど)にとって、終業時間の差が減り仕事がより円滑にできる」「野外での仕事を主とする建築業者などの場合、涼しい時間帯を有効に利用できる」「一般労働者は帰宅後にも野外活動が可能になる」といった内容だが、もっと広い意味では経済効果やエネルギーの節約を目的とすることだ。しかしこういったメリットの反面、デメリットもある。「日没が8時を過ぎる頃になるため、子供がなかなか寝付かない」「深夜に仕事をするシフトワーカーなどが睡眠不足から疲労を併発する」「野外活動時間の増加に伴い、皮膚ガンの発生率が増加する」などが指摘されている。また、「オーストラリアでデイライトセービングによるエネルギー節約の効果が、近年、調査されているわけではないので、本当のところはわからない」といった意見もある。前回はこういったデメリットなどから州住民に受け入れられず、廃止となったわけだが、はたして今回はどんな結果になるのだろうか。

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