日本ではもう一般的なハイブリッド車だが、ハイブリッド車は日本の交通事情ならではの車かもしれない。ハイブリッド車は減速時に電気を発電し、自動的にバッテリーへ充電するため、加速と減速が多い状況の方がいい。住宅が密集し道幅が狭く、信号の多い日本の道路事情に適合した車といえよう。主要都市に有り勝ちな交通渋滞では、排気ガスを減らせ、大気汚染対策にもなる。こんな状況の下、車種も豊富で、価格も手頃なら、ハイブリッド車が普及するのは当然だろう。一方で、道路事情の異なるオーストラリアではどうだろうか。都市間の距離は長く、郊外では信号が少なく、比較的高速で長く走れ、渋滞はほとんど都市部のみである。ハイブリッド車は高速走行時には主にガソリンエンジンを使用するため、時速100km以上で2、3時間も走る状況では、車の良さがあまり出ないという声もある。こう考えると、ハイブリッド車はオーストラリアでは都市部のみでの使用なら有効な車と言えるかもしれない。

 筆者の知人にもハイブリッド車を所有する者がいて、時々乗せてもらうが、静かな走行音には驚かされる。停車中にはエンジンも停止するので、信号待ちなどで無駄な燃料を使わないのがいい。このハイブリッド車、筆者はオーストラリアでも将来どんどん増えると予想している。まだ車種は少ないが、他のメーカーも生産を始めれば、価格もどんどん下がり、街乗り用の小型車が出まわるだろう。しかし気になるのは、この車の廃車後の処理である。金属化合物を含む大容量のバッテリーが廃棄物となって溢れるわけだから、その処理を考えなくてはならないだろう。現在、主要メーカーであるトヨタは、廃棄バッテリーをステンレス材料などへリサイクルさせようとしているが、将来、各メーカーも廃棄処理を十分考えた上で生産してほしいものだ。環境問題に敏感なオーストラリアだからこそ、ハイブリッド車の普及前にこういった問題の対策も十分考慮しておかなくては、ハイブリッド車が逆に公害の元となってしまうかもしれない。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 


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