ドロップアウトの達人 Vol. 58 |
人は一人この地上に生まれて、ある日、一人、去っていかなければならない。あなたに与えられた命を100年としても、わずか36500日の時間しか、与えられていない。例えば、ポケットに36500円入っていて、「1日、1円ずつ使うこと」と神様に言われていたとする。そうは言われても、ある者は1日100円使ってしまうだろうし、ある者は1円も使わないで過ごすかもしれない。けれども、僕達が神様から預かっているお小遣いは大体36500円位だから、どんなに倹約したところで、いずれは無くなってしまうお金に違いない。そのお小遣いの使い方については、あまりとやかく干渉しない方がいいに決まっているし、誰だって、だから自由の方が好きに決まっている。 今回のイラクでの人質事件について、もしも、僕が日本国の総理大臣であったなら、まず始めに、人質救出に多大な努力を払ってくれたイスラム教の指導者とイラクの国民に向けて、感謝の放送を衛星テレビアルジャジーラを通じて行なう。次に、戦時下のイラクで自衛隊に敵対する相手側武装集団の中にも、人命尊重のホットラインがまだ存在している点を、ブッシュ大統領に詳しく説明する。そして次に、解放された人質の帰国を待って、直接、彼らの考え方、戦時下のイラク行きを決心した動機などを聞く。と、まあ、こんな手順はかならず踏むだろうと思う。その上で、税金の無駄使いだから、どうしても「航空券と診察費用を出してもらいたい」と思うほどの事柄だったら、今、4月20日現在日本中が騒いでいるように「自己責任」の代償を求めることになるのだろうと思う。だけれども、連中は、こっそりイラクに潜り込んで、闇市で一儲けしようとしていたのではなく、陰で石油の取引をまとめようとしていたのでもなく、中東の美人を日本のソープランドに斡旋していた訳でもなく、ある者はフセイン政権時代、西側のイラク鎖国政策による貧困と食糧難の後遺症で蔓延したストリートチルドレンの救済を目的とし、ある者は自衛隊の救援支援活動を監視するために渡り、ある者は米英の占領に疑問をもって取材に当たっていたジャーナリスト達、なのである。 そりゃあ、売名行為で行っていた野郎が混じっていたかもしれない。だけど、一発捕まれば、殺されるくらいの覚悟は持っていただろうことは、海外に単身進出している「自己責任」組の僕らには、十分理解出来るのである。それを寄ってたかって、「金を返せ」だ、「態度が生意気」だ、「どれだけ周りに迷惑を掛けりゃ気がすむんだ」なんて、言いたい放題だ。これじゃあ、僕なんか、あの人達と50歩100歩に違いないこともあるし、もう日本へは当分帰れないもんね、なんて真剣に考えてしまう。 今回の報道を見るにつけ、ほんと、あそこには民主主義なんて育っていないと思わざるを得ない。36500円持って、周りの反対を押し切ってイラクに行った兄ちゃん、姉ちゃんが、とにかく生きて帰って来たんじゃないか。なぜ、それをまっすぐに祝福出来ない?僕は祝福するね。だって、ある意味で僕ら海外組と一緒だと思うから。僕らは、駐在員やワーホリみたいに、はなから帰国が決まっていて、日本国に守られて外国に出てきた人間じゃない。日本中が大合唱しているその「自己責任」とやらで、勝手に出てきた連中の一人なのである。 だから僕や、僕と似たような考えを持つあなたは、イラクでとっつかまった連中の方に近いと言える。何も毎日1円ずつ使って36500円使い切る奴ばかりが、人生じゃ無いじゃないか。バーンと一発で使う野郎がいたってしょうがないだろう。 「また、機会を見てイラクに戻ります。」 PS 悪いけど、今回の記事についての反論は、いくらもらっても返事書かないからね。 |
回答ZORRO |
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