日本政府、りそなホールディングスに総額2.2兆円の融資決定。
このニュースを聞いて、あまりピンとこない人の為に説明しておくと、まず、りそなホールディングスとは、旧大和銀行、あさひ銀行と関西を地盤にする地方銀行3行が合併して出来た、新しい4つの巨大銀行からなるグループ会社のひとつであるということ。
つぎに政府が決めた2.2兆円という融資額について説明を加えておくと、あなたの住んでいるパース市の全員に(赤ん坊から、老人までを含めて)1人あたり、3万ドル弱を渡すのと同じだけの金額を一会社(銀行)に融資することを決めたということ。
例えば、あなたのところが子供2人に奥さんの家庭なら、10万ドル以上が来月中に口座に振り込まれているということになる。2.2兆円とはそれほどの金額なのである。それなのに、誰も文句を言わない。どこからも暴動が起きる気配は無い。そして、政府の言う、「大手の金融機関が破綻したら、人々に与える不安は計り知れないから」という考えのもとに、今回も他の巨大バンクの時と同様に、税金が使われていくのである。
僕の知り合いに、事務機器を販売しているオージーがいる。彼は今、フィジーでバカンスを過ごしている。彼の話によると昨年、豪州で日本の銀行が統合を行ったのだけれども、その時、彼の会社から事務機器をたくさん購入したそうなのである。しかも、統合したうちの一つの銀行には、ほとんど新品に近い事務機器がたくさんあったそうなのだが、他の統合される銀行との綱引きで、全て廃棄処分になったそうなのである。彼はその廃棄物を売却して、その代わりに新品を納品するという一生に一度あるか無いかの幸運に恵まれて、今、フィジーでガールフレンドと無期限のバカンスを過ごしている。もちろん、その銀行の統合にも1兆円を超える税金が使われたのである。
知らなかった、興味が無かった、では済まされない税金が、当り前のように一民間企業を救う為に使われていく。そして、その理由は「人々に余計な不安を与えないため」なのだそうである。断っておくけれども、こうして払われつづける税金は、我々が将来必ず、頭割りされて支払わなければならないものなのである。ちなみに2002年度末までの日本人一人あたりの負債額は、350万円だそうである(赤ん坊から、老人までを含む)。一家4人の場合、1400万円の負債を抱えている計算になる(りそなホールディングスに何か恨みでも持っているのかって?もちろん、答えはNOだよ)。
トヨタF1について考える。
参戦2年目を迎えたトヨタF1に、日本人の注目が集まっているそうである。でも、3月6日に開催されたオーストラリアGPまで、8位以内でゴールしてポイントを取ったレースは、6位に入ったスペインGPの1回きりである。僕の息子がマクラーレンを応援している関係で、F1を観ているうちに感じたのだが、トヨタチームのレースにおける戦術が実につまらないのである。
例えば、雨のブラジルGPで事故が続出して、リタイアが相次いだレースで、幸運にもクリスチアーノ・ダマッタの運転するトヨタの2号車がトップに手の届くところまで上がったことがあった。
前と後ろにはフェラーリやBMWを従えての、実にかっこいいレース展開になったのであるが、わずか数周後にトヨタの2号車はピットに入ってしまったのである。理由は、早目に給油をして終盤に備えたのだそうであるが、単純にレースを楽しんで観ている者の目には、せっかくトヨタ車が上位でバトルをはじめようとしている矢先に、レース後半に備えてガソリンを入れました、というのでは、それが作戦なのかもしれないけれども、面白くもなんともない。
たぶん、トヨタF1チームは他のチームに比べて、純粋にレースを楽しむという姿勢に欠けているのだと思う。その分、名古屋だか、どこかの本社の人間が意図している「余計な勝負などする前に、とにかく完走させろ!トヨタの車は壊れないということをまずアピールしろ!」みたいな声が聞こえてきてしまって、面白くないことこの上ない。
もうひとつ、レース後のプレスリリースに載っているトヨタの高橋テクニカルディレクターのコメントが、また、いけない。まるで、業績を伸ばせないどこかの課長の営業報告と一緒なのである。たとえリタイアしてしまっても、現場のスタッフは命を削るような努力を繰り返しているはずだし、その代表であるあなたは、もっと誇りを持ってコメントを残すべきなのである。くれぐれも、遊びの世界でサラリーマンの悲哀を見せるようなことだけは、勘弁してもらいたい(これはトヨタバッシングじゃないよ。うちは1962年以来、ずっとトヨタです)。
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