いきなり出だしからナンだが、女に泣かれるのは困る。しかし、男にとっては赤ちゃんに泣かれるのもかなり困りもの。まぁ、俺はカミさんを泣かしたことはないが(たぶんね:笑)、赤ちゃんに泣かれるとコレがどうしようもないんだよね。時とか場所とか関係ないからな。特に公共の場所で泣かれるとつらい。特に密室状態(電車とか)で泣かれた場合はキツイな。一応周囲の人間の手前、理解のある父親のひきつった笑顔を満面に浮かべて「あーよしよし、泣かないのよ〜」とか言ってみるものの、内心は「うわー、勘弁してくれよ〜。まいったな〜?」なのだ。「泣くのは赤ちゃんの仕事だから」なーんて理解してくれんのは子供のいる人だけ。そして、どんどん泣き続ける度に周囲の視線はだんだん冷たくなってくるし。「お前ら!本当に泣きたいのは俺だっつーのがわかんねえのかっ!?」って心の中ではシャウトしている俺。
 だが、そこでふと思いついた。「もし、俺も一緒に大声で泣いてみたら…」。かといって、ドッキリカメラじゃねえんだから、まさかバスの中とかでやる訳にもいかないし……。 そして、その日の午後。疲れてなかなかお昼寝の時間に寝付けない息子の恵蘭(ケイラン)がぐずり始めた。チャンス到来!実験の神よありがとう!俺は、転がる小坊主の上におもむろにかぶさると、それまで閉じていた目を開けた。
 「うぇ、うう.......うふ、うふふ、キャッキャッキャッ!!」
 うー、しまった。つい笑わしちまったよ。絶好調に機嫌良くなってしまった。これじゃ何のチャレンジにもならんじゃないか(というか、本来ならコレでいいんだけど、その時の俺には既に何も見えていないのであった)。 そして夕方、再び神は我にチャンスを与えたもうた。毛布の上に転がって顔をゆがめ始める恵蘭。俺は再びゆっくりとスタンバイの位置についた。 
 「ふぇ、ふぇ、ふぎゃ.......」
 「うわあああああああああん!!!」
 赤ちゃんの泣き声に追い討ちをかけるかのごとく、更に大きなボリュームで泣き声を上げる俺。
 「.............。」
 一瞬、呆然と俺を見つめる恵蘭。そして、その直後、
 「うぎょええええええええん!!!」
 大地も裂けよとばかりに、更にデカイ声で絶叫し始めたのだ。だが父親として、そして男として、俺は今ここで息子との勝負に負ける訳にはいかない。
 「うひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!!」
 「あばばばば...ういっく...ういっく...うぎゃああああ!!」
 その時、いきなり大きな音を立てて部屋のドアが開くと、
 「一体何やってんのアンタぁっ!」やっぱカミさんに怒られたよ。
 「うーん、困ったよ。恵蘭ちゃんが泣くんだよ。」
 「あたりまえでしょ?おなかすいてんだから。」
 結果、我が家の誰一人として、母親にはかなわなかったことだけは、全力で明らかになった。 以上、実験終了。報告終わり。


 


★言葉が出来ない赤ちゃんにとって、泣くことは赤ちゃんからお父さんとお母さんへのサイン。外的要因(頭ぶつけたとか)やお腹が空く時間なんてのは非常にわかりやすいが、意外と見落としがちなのがゲップと腹痛。お腹が痛くて2時間延々と泣き続けて、「ゲプッ」とゲップした瞬間にコクンと寝たなんて事もよくあるから、とにかく抱っこして背中を軽く叩き、赤ちゃんを落ち着かせて、それから原因を調べるのがいいと思う。オムツは湿ってない?熱や発疹はない?理由さえわかれば対処方法もかわってくるからね。間違ってもタオルで口をふさいだり、ガンガン揺さぶったりしないように。それとも次の日のニュースで自分の名前を読まれたいデスカ?




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