日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.221 2016年6月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第50回目は、「子どもの発熱時の対処法」についてです。

「子どもの発熱時の対処法」について
K美さん(43)主婦


「子どもの発熱時の対処法」について

 発熱は、ほとんどが身体に侵入したウイルスや細菌を追い出そうとする免疫反応で起こります。子どもは、大人よりも発熱に強く、38~39度の熱があっても平気で遊んでることもありますから、熱を出した途端に慌てないで、まずは発熱以外の状態を観察してください。熱があっても特に他の症状もなく、機嫌よく、食欲もあり、水分が取れるようであれば、慌てて病院に駆け込む必要はありません。

発熱時のホームケア 1. 温度調整 熱が38、39度ある時には、全身から熱を放散させ てあげないといけませんので、着せ過ぎないように 薄着にしてください。寒いからといって過剰に毛布 などで包んでいるとどんどん熱がこもってしまい ます。汗をかくので、こまめに着替えをさせましょ う。暑がっているようであれば氷枕や濡れタオルで 後頭部、額など冷やしてもいいでしょう。

2. 水分補給 食欲がなければ無理に食べさせる必要はありません。 最も大事なことは、こまめに水分を飲ませ、何か食 べたいと言えば、アイスクリームやフルーツなど何で もいいので欲しがるものを食べさせてあげましょう。

3. 解熱剤 38度台の熱があってもあまりつらそうでなければ、 無理に下げる必要はありません。しかし、38.5度以 上の発熱になった場合は熱性けいれんを引き起こす リスクが高くなるため、適切な解熱剤を服用させ、 熱を下げてあげましょう。子どもの解熱剤(パナドー ル、ニューロフェンなど)は、薬局やスーパーで購 入できますので常備しておきましょう。

発熱以外の症状 ひどい咳や鼻水、嘔吐や下痢、発疹を伴う発熱、耳 を痛がったり触ったりしている(中耳炎の疑い)、あ るいは元気で他の症状を特に伴わないが、発熱が3 日以上続く場合は、救急ではありませんがドクター の診察を受けるようにしましょう。

発熱に伴い、以下のような症状が見られる場合は大 至急病院へ連れて行ってください。
・ けいれんが5分以上続いたり、何度も起こる
・ ぐったりとしていて意識がはっきりしない
・ 顔色が青白く、手足も冷たい、呼吸が荒く、あえぐような息遣いで、唇や手足の先が紫色になっている
・ 嘔吐や下痢がひどく、水分を受けつけない。
・ 首の硬直、頭痛、光を異常にまぶしがる、赤紫様の斑点のような発疹(髄膜炎の疑い)。

 

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

ご挨拶

本誌パースエクスプレスでのこの連載も「いつも読んでます」と言ってくれる読者の方々に励まされて、この50回目を迎えることができました。本当にありがとうございました。これで最終回となりますが、今までの連載は本誌ウェブサイトで読むことができますので、ぜひ参考にして下さい。あれこれ悩みはあっても“健康第一!”です。皆様もお身体には気をつけて、オーストラリア生活を満喫して下さいね。

日本語医療センター 千綿 真美

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