日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.219 2016年4月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第48回目は、「飛蚊症」についてです。

「飛蚊症」について
S雄さん(44)会社員


「飛蚊症」について

目の前を蚊やハエが飛んでいるように見えたり、糸くずや髪の毛が動いているように見えたりする症状を飛蚊症(ひぶんしょう)と言い、英語では一般的にFloater、またはFloaters といいます。

眼球の中には硝子体というゼリー状の透明な液体が詰っており、通常角膜と水晶体を通して外から入ってきた光が、この硝子体を通過して網膜まで達し視覚として認識されるのですが、この硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、明るいところを見たときにその濁りの影が網膜に映り、眼球の動きと共に揺れ動き、あたかも虫や糸くずなどが飛んでいるように見えます。この症状を飛蚊症とよんでいます。

飛蚊症の約80~90%は、病的な原因によるものではありません。加齢と共に起きる目の変化のひとつで、誰にでも起きる可能性がありますが、問題のないことがほとんどです。加齢によってゼリー状の硝子体が収縮し、網膜と離れた部分が濁りとなり影を生み出す、あるいはゼリー状の硝子体が液状に変化することにより硝子体内に繊維が増加して影を生み出すのが原因です。この変化は、強度の近視によっても起こりやすいものです。

ほとんどが問題ない飛蚊症ですが、網膜裂孔、網膜はく離、硝子体出血などの病的な原因で起こる場合もあるので、症状を自覚した場合は、念のために一度、病院を受診し、眼底検査を受けることをお勧めします。特にライトがフラッシュする感覚がある、カーテンが掛かるように視野が暗くなってくるなどの症状は網膜はく離が疑われますので、一刻も早く病院を受診してください。そして、心配ないと診断されても、その後、飛蚊症の様子に変化が起きた時には再診するようにしましょう。

大きな問題がなければ飛蚊症は治療の必要はありません。その時は、気にして常に目で追っているといつまでも見えることになります。目で追わないようにすることが大切です。

 

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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