パースエクスプレス Vol.218 2016年3月号 掲載
当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第47回目は、「身体のだるさ」についてです。
身体のだるさを感じる原因は様々です。かぜ等のウイルス感染や花粉症などのアレルギー、脱水、過密スケジュールによる肉体的ストレスあるいは精神的ストレス、睡眠不足、うつ病、または鉄欠乏や貧血、甲状腺機能の異常など内科的疾患によるものでも起こります。
原因がかぜであれば、だるさを感じ始めた後、たいていはのどの痛みや鼻水、咳などの症状が出現します。かぜと区別がつきにくいものが花粉症などのアレルギーで、やはりのどの不快感や鼻水、咳などがみられますが、症状がそのシーズン中、長期にわたって持続します。かぜやアレルギーであれば症状を抑える薬を服用し、休養をとって過ごすことで症状が緩和されるでしょう。
暑い夏は、身体の水分が奪われることで脱水気味になりがちです。脱水によってだるさや頭痛がおこります。水分は一日、最低1.5~2リットル摂取するのが理想です。
また、過密スケジュールによる肉体的ストレスは、スケジュールを調整して休養する以外に対策はありません。精神的ストレスもその原因を除去するのが一番ですが、それができなければ息が切れるぐらいの運動をするのが、速攻で効果のあるストレス発散法となります。ただし、運動する気力もない、悲観的になる、眠れないなどの症状があれば、うつ病の可能性もありますから、迷わずにドクターの診察を受けましょう。
上記に当てはまる原因もなく、だるさが続くとき、意外に多いのが鉄欠乏です。特に女性の約半数が鉄欠乏状態の貧血予備軍だと言われています。生理の出血量が多い、カロリーを気にしてあまり肉を食べないという方は要注意です。牛肉は鉄分豊富ですので、最低週に2回は食べることをお勧めします。ほうれん草などの緑黄色野菜、オーストラリアではちょっと高めかもしれませんが魚のマグロも鉄分豊富です。さらに、鉄分はビタミンCと一緒に取るとその吸収率が非常に良くなるため、牛肉のステーキとサラダ、オレンジジュースなどというメニューを時々取り入れてみましょう。鉄欠乏が進行し、貧血になるとだるさ、目まい、息切れなどの症状も現れ、食事療法だけでなく鉄剤の服用が必要になります。
最後に、特に原因が思いあたらず、身体のだるさが3~4週間以上続くようであれば、ドクターの診察を受けましょう。血液検査で貧血や甲状腺機能の異常、その他の異常がないか確認することが大切です。
回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん