日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.216 2016年1月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第45回目は、「脱水症」についてです。

「脱水症」について
T美さん(39)主婦


「脱水症」について

 パースも気温35度を超える暑い日々が多くなってきました。通常、人間の体は発汗することで体温調節をしていますが、高温や体内の水分不足により発汗だけでの体温調節ができず、体温が上昇し続けてしまう状態を熱中症(Heat Stress/Heat Disorder)といいます。熱射病(Heat Stroke)とは熱中症の中でも意識を失い、多臓器不全を起こして命に関わる重症なもので、直ちに救急処置が必要となります。

 熱中症とまではいかなくても、暑い日の身体がだるい、何となく気分が悪い、頭痛がするなどの症状は、身体の水分不足(脱水状態)によって起こっていることが多く、その場合症状が悪化する前に、十分な水分補給が必要です。そこで、誰にでもわかる脱水状態の目安は、"尿の回数と色"です。長時間、尿意を感じず排尿していない、尿の色が濃いという時は脱水状態ですので、直ちに水分を補給してください。この場合の水分とは、水でもいいのですが、水よりはスポーツ飲料が適しています。また、水にほんの少し塩を加えるのもベターです。糖分の多いジュースやアルコール、カフェインを含む飲み物は薦められません。

 小さい子どもは、大人より脱水状態になりやすく、大人による観察が必要です。暑い日に元気がない、グズグズ不機嫌、痛みを訴えるなど気がついたら、まず涼しい部屋で休ませ、水分補給を行いましょう。オムツの場合は、オムツに出ている尿の色と量が目安になります。また、トイレに自分で行く子どもも暑い日には、排尿に行っているかどうかそれとなく注意しておきましょう。子どもが欲しがらなくても日中、こまめに水分を飲ませておくことは大切です。

 そして、特に暑い日のパーティやイベントなどの人混みでは、楽しさについ脱水状態の症状に気がつかず、突然倒れたりすることになります。直射日光を避ける、帽子の着用、涼しい服装、扇風機やエアコンのある涼しい環境を作る、子どもやペットを車の中に残さない、暑い中での運動や仕事を避ける、そしてこまめに水分を取ることを心がけて、暑い夏を乗り切りましょう!

 

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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