日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.214 2015年11月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第43回目は、「オーストラリアの医療システム」についてです。

「オーストラリアの医療システム」について
S男さん(40)会社員


「子どもの予防接種登録システム」について

 ご質問者の方は、ナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner/NP)によって血液検査や何らかのレントゲン検査のオーダーを出してもらい、検査をすることになったと思われます。ナース・プラクティショナーとは、日本にはまだありませんが、正看護師資格の上にさらに学位を取得してなれる、医師と看護師の中間レベルの資格と言えます。ナース・プラクティショナーは、ある一定の診断、薬や検査の処方をすることができます。医師不足の解消、医師より低額の医療費によってのコスト削減を目的としてつくられた資格です。ちょっとした風邪や皮膚炎、膀胱炎などの問題であればGPドクターの診察料より安く、約$40~$45で(メディケア<オーストラリアの国民保険>カバーはそのうちの約$18)診察が受けられます。

 オーストラリアでは、血液検査やレントゲン、エコーなどの様々な検査は、ドクター及びナース・プラクティショナーの診察を受け、検査リクエストフォーム(検査の指示書)を出してもらわなければ受けることはできません(ただし、各種のがん検診に関するものではドクターの診察なしで受けられるところもあります)。血液や尿、便検査などはPathology(病理検査科)で行われ、メディケアをお持ちであれば検査代は一部を除くほとんどがカバーとなります。レントゲンやエコー、CT、MRIなどの検査をするところをRadiology(放射線科)といいますが、これらの各検査はメディケアで定められているカバー額を大幅に越えることがほとんどですので、その差額を自己負担することになります。病理検査科も放射線科もそれぞれいくつかの会社が行っており、会社によって検査代も若干異なります。

 オーストラリアでは医療機関は完全分業となっており、ドクター、病院、病理検査科、放射線科、薬局など、全てそれぞれに支払いをしなければなりません。 医療費はメディケアを持つオーストラリア国民や永住者と、メディケアを持たない外国人とで設定が違うこともよくありますので、心配であれば診察や検査を受ける前に費用はいくらかかるのか聞いてみましょう。

 

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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