パースエクスプレス Vol.213 2015年10月号 掲載
当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第42回目は、「子どもの予防接種登録システム」についてです。
「子どもの予防接種登録システム」について
M子さん（35）主婦
オーストラリアでは、子どもが受けた定期予防接種については、全て政府の保健機関が管理するACIR（Australian Childhood Immunization Register）に登録されることになっています。登録すると生後18ヶ月、そして5才の時に自動的に予防接種記録証明書が送付されてきます。また、必要な時にはその発行を申し込むこともできます。接種時期を過ぎて未接種のものは、そのリマインダーも送付されてきます。
オーストラリアでは学校教育法のもと、入学の際には必ず予防接種記録の提出が必要になります。オーストラリア国外で生まれ、いくつかの予防接種を国外で受けている場合、その記録を翻訳したものを持参し、GP（一般開業医）でACIRへの登録を申し入れれば手続きはしてもらえます。
オーストラリアと日本では予防接種スケジュールが違っています。こちらでは日本のように義務接種と任意接種のものに分かれておらず、すべて定期に接種されるものとなっています。何らかの理由で接種をしないという場合は、ACIRを通して正式な書類の記入と署名が必要とされます。
ご質問のような日本から来たお子さんは、オーストラリアのスケジュール接種に見合うためにほぼ全員、何らかの追加接種が必要となります。これは、接種しないと罪に問われるといったものではありませんが、学校によってはこちらで接種されるべきものが接種されていないと、すべて受けるようにと言われることもあります。
近年では、国の方針としてメディケア（オーストラリアの国民保険）を持たない短期滞在の外国人にも、オーストラリアのスケジュールに合わせた予防接種とACIR登録が積極的に勧められていますので、その点はドクターと相談してください。
日本語医療センターでは、日本の母子手帳からの翻訳ならびに追加予防接種のスケジュール作成、ACIRへの登録手続きをしております。ACIRの登録は7才以下です。8才以上の子どもで、入学するにあたり予防接種記録の提出を必要とされている場合も、当クリニックで証明書の発行が可能ですので、お電話でお問い合わせください。
回答者：日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん