日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.212 2015年9月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第41回目は、「不眠症」についてです。

「不眠症」について
I子さん(33)学生


「不眠症」について

 適切な睡眠時間というのは人によって様々で、6時間の睡眠で充分だという人もいれば、10時間の睡眠が必要だという人もいます。よって睡眠時間の長さではありませんが、その人にとって満足な睡眠が取れない日々が続き、日中のだるさや眠気、頭痛などの症状があり、日常生活に支障をきたす状態を不眠症といいます。

 不眠症には、大まかにいくつかのタイプがあります。

  • 寝つきが悪いタイプ
  • 眠りが浅くすぐに目が覚めてしまうタイプ
  • 寝ている時に何度も目が覚めるタイプ
  • 朝早くに目が覚めてそのまま眠れないタイプ

 当クリニックで受診される患者さんで最も多いのは、寝つきが悪いタイプの入眠障害で、その原因の主なものとしては精神的ストレスが挙げられます。言語や文化の違い、学校や仕事、人間関係、将来のことなどの悩みによってストレスが溜まり、眠れなくなってしまう、そしてまた眠れないがためにイライラしてストレスがさらに増強してしまうという悪循環にはまってしまい、なかなか抜け出せなくなります。他に原因としては、環境の変化(ベッドが変わった、シェアメイトがうるさいなど)もあります。体調不良、アルコールや薬、カフェインやドラッグなどの影響なども挙げられます。

 不眠症は、まず原因がわかっていればそれを取り除く事が一番ですが、精神的なストレスを及ぼしている様々な悩みは、即座に解決できるものも少ないでしょう。まずは、以下のアドバイスを参考にしてみてください。

  • 眠らないといけない!と自分に強く念じない。1、2日眠らなくても死ぬわけじゃないと気楽にかまえましょう。
  • ベッドで本を読んだり、テレビを見たりなど、眠ること以外のことをせず、眠くなってからベッドに入り、横になりましょう。
  • 夕方以降、カフェインが含まれる飲み物(コーヒー、紅茶、ココア、緑茶、コーラなど)は避けましょう。アルコールや薬、ドラッグも控えましょう。
  • 毎日日中、息がきれるほどの運動をしましょう。
  • どんなに眠りにつくのが遅くなっても、毎日、同じ時間に起きるようにしましょう。
  • 暖かいお風呂につかる、音楽を聞く、瞑想やアロマセラピーなど気分が落ち着くものを見つけて実行しましょう。

 いろいろなことを試してみても、やはり眠れず、気分がすぐれないようであれば、ごく短期間の睡眠薬の服用により、睡眠パターンを取り戻す治療もあります。また、不眠は不安症や鬱病などの症状として現れていることもありますから、気になるようでしたらドクターの診察を受け、相談してください。

 

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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