パースエクスプレス Vol.211 2015年8月号 掲載
当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第40回目は、「自覚症状が出にくい性行為感染症」についてです。
妊娠しないようにピルを服用している女性が増えていますが、ピルを飲んでいるからコンドームはいらないと安易な考えで性交渉をもち、様々な性感染症にかかっている人が多くみられます。
性行為感染症には、クラミジアや淋病、梅毒、性器ヘルペス、ユリアプラズマ、尖圭コンジローム(性器イボ)、腟トリコモナス、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)などがあります。ちなみに、どの性行為感染症にしてもコンドームの着用で、たいていは予防ができます。
さて、これらの性行為感染症の中でも、自覚症状が出にくいクラミジアですが、性行為を通して感染する病気で、性活動の盛んな若い年代に非常に多くみられます。約半数以上が無症状で経過し、感染していることに気づかず、コンドーム不使用の性行為を通して、さらに感染を拡大しているのが現状です。
症状としては、排尿時の違和感や痛み、下腹部痛、おりものや不正出血、ペニス先端からの分泌物などがあります。 感染すると自然に治癒することはなく、内服での治療をしない限り、放置すると女性では炎症が骨盤内へ広がり、骨盤内炎症性疾患や将来不妊の原因となることがありますので危険です。男性でも炎症が睾丸へ及び、将来不妊の原因となりえます。
クラミジアは一度感染して治療しても、また何度でも感染する可能性があります。あるドクターからの話では、2度目、3度目と再感染するたびに炎症がひどくなる傾向にあるということです。
検査は、おりもの採取あるいは尿検査で、4~5日後に結果が出ます。治療は抗生物質の内服のみで、服用から4~6週間後に再検査をし、治療できているかどうかを確認します。また診断されたら、過去と現在のパートナーも感染している可能性が高いため、連絡をして、検査・治療を受けてもらわないといけません。複数と性交渉を持っている場合、誰から誰に移ったということはわかりかねますが、大切なのは感染の拡大を防ぐために、数カ月以内に性交渉を持った相手には連絡をとるのがベターでしょう。
回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん