日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.208 2015年5月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第37回目は、「頭シラミ」についてです。

「頭シラミ」について
s美さん(39)主婦


「頭シラミ」について

 オーストラリアで現地の学校に通うお子様を持つ方で、時々、学校から『頭シラミが発生しているのでチェックして下さい』というようなメールがきて、驚かれることがあるかと思います。頭シラミは、英語でHead Lice、または Nitsと言われ、子どもにはよくみられるものです。“不衛生”“不潔”のイメージがある方が多いですが、決してそうではありません。季節も関係なく、年間を通して感染する可能性があります。

 頭シラミは、取っ組み合って遊んだり、一緒に寝たり、抱き合ったりなど、頭と頭の接触によって移ります。頭シラミは、飛ぶことはできませんが、髪の毛から髪の毛へ非常に素早く移行します。水の中で移ることはありません。生きた頭シラミやその卵は、通常毛幹(髪の毛の生えている根元)近くにしっかりしがみついているため、死なない限り、くしやブラシ、あるいはベッドリネンや衣服、ヘルメットなど頭につけるもので頭シラミやその生きた卵が移ることはあまりありません(ただし、頭シラミに感染している人が使用した直後に、これらを共用した場合は移ることがあります)。

 症状は、シラミの唾液に頭皮が反応することでおこる頭皮のかゆみです。ただし、頭シラミに何度もかかるとかゆみを感じにくくなっていきます。後頭部に隠れていることが多いので、親御さんはそこをよく見て下さい。素早いですが、徘徊するシラミ自身を見つけるかもしれませんし、毛幹付近に卵がくっついているのが見られるかもしれません。卵は、一見フケのように見えますが、しっかりくっついていて、爪でこすり落とさないと落ちません。または、乾いた髪の毛にまんべんなくリンスをつけ、頭シラミ専用の目の細かいくし(薬局で購入可)でとくと、頭シラミや卵がついてくるのが確認できます。

 治療は、頭シラミ用のシャンプーやローション、コンディショナーなどが薬局で買えます。どれでもいいのですが、大切なことは、シャンプーやローション使用後、コンディショナーを髪全体につけ、シラミとその卵を除去するための目の細かいくしでよくといて、死んだシラミと卵を取り除いて下さい(残っているとかゆみが続くことがあります)。また、一度の治療で卵をすべて殺して、取り除くことができないこともあります。その場合、頭シラミは約10日サイクルでふ化しますので、1週間後にまた必ず2回目の治療を1回目と同じように実施して下さい。

 シラミが出た場合、学校やディケアなど子どもが通う場所に報告しなければいけません。また、1人のお子さんがシラミに感染しているのが見つかった場合、家族全員が治療をしましょう。子どもさんがよく頭をかいている姿を見たら、まず頭シラミをチェックして下さい。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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