パースエクスプレス Vol.205 2015年2月号 掲載
当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第34回目は、「薬の強さ」についてです。
薬は各製薬会社によって、その商品名や錠剤の大きさ、形や色が違ったりしますが、薬の成分そのものは世界共通です。なので、日本で処方されているほとんどの薬は、オーストラリアでも処方してもらうことができます。ただし、いくつかの薬は日本では使われていてもオーストラリアでは使われていないというものがありますし、その逆もあります。当地で何らかのケガや病気により病院にかかると、ドクターから必ず過去の既往症や慢性疾患、服用中の薬、薬物アレルギーなどについて聞かれます。慢性疾患があり薬を服用中の方で、海外旅行に行く場合、あるいは長期滞在をする場合は、日本を出発する前に担当のドクターに手紙で、どういう状態なのか、何の薬を飲んでいるのかなどを(できれば英語で)書いてもらい、携帯しておくことが大切です。手紙が用意できない場合は、自分が服用している薬の名前をメモして携帯するか、もしくは病院を受診する際に薬自体を持参しましょう。
こちらの薬は強いのでは?という質問をよく受けますが、答えはNO!です。オーストラリアの薬だから強い、ということはありません。ただし、人によっては薬に対するアレルギーが出ることがありますから、薬を飲んで異常が見られる場合はドクターの診察を受け、その薬の名前を控えておくようにしましょう。
日本では、痛み止めなどの市販薬(主成分:アセトアミノフェン、アスピリン、イブブロフェンなど)では、主成分以外の成分を複数配合したものが多くみられます。しかし、オーストラリアの薬は主成分のみのものが多く、そのためにその主成分の量が日本の市販薬と比べやや多めになっています。錠剤自体も大きめになっていますが、大きさに比例して主成分の量も“すごく多い”、ということではありません。服用方法に沿ってきちんと服用すれば、問題のない量となっています。
また、以上のような「オーストラリアの薬は強い?」という質問と同様に、日本人の患者さんからよく伺うのが、ステロイドについて「強い?」「身体によくない?」「痕になる?」といった質問です。ステロイドは、炎症を抑えるために外用薬、あるいは内服薬として処方されます。当クリニックにお越しの患者さんでステロイドの処方を受けるのは、多くの場合アトピーや虫刺され、接触性皮膚炎などの皮膚のトラブルです。軟膏やクリームなどによる局部、しかも短期間のステロイド治療は、安全で効果的に皮膚の炎症を鎮めます。ステロイドは組織の炎症のための厚くなった皮膚を改善し、またその炎症を抑え、その結果皮膚への色素沈着を防ぐ効果があります。必要な時にはしっかりとドクターの指示通りに使い、短期間で治療できる様にしましょう。使うことをためらってドクターの指示よりも少なく塗っていると、逆にいつまで経っても治らず、長期間使い続けることになります。そしてステロイドによる治療の後は、保湿剤で皮膚のケアをこまめにして再発しないようにしていくことが大切です。
回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん