日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.204 2015年1月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第33回目は、「蚊や疥癬への対処」についてです。

「蚊や疥癬への対処について」
δ恵さん(26)ワーキングホリデー


当地の蚊は、日本の蚊よりも強いのですか?

 “虫刺され”の代表的な原因となる虫には、「蚊」のほかに「疥癬(皮膚に寄生するダニの一種)」「ベッドバグ」「サンドフライ」「ノミ」などがあります。

 当地では、夏になると虫刺されによるアレルギー反応を起こして受診する患者さんが続出します。虫刺されによるアレルギー反応は個々によって違い、同じ虫に刺されても症状が出ない人もいれば、ひどい症状が出る人もいます。“日本で蚊に刺されても、こんなに腫れあがることはないのに”と疑問に思う方も多いでしょう。しかし、蚊にも何十もの種類があり、今まで刺されたことのない種類の蚊に刺されるとアレルギー反応が強く起こり、ひどく腫れあがる、かゆみが止まらない、などという症状が起こり得るのです。

 虫刺されの予防には、まず虫に刺されないようにすることが大切です。暑い日に戸外で過ごす時でも、長袖・長ズボンで肌の露出を避けること、必ず虫除けスプレーを使用すること、旅行にはなるべく自分専用の寝袋を持っていくこと、またバックパッカーなどでの滞在にも自分専用の寝袋やシーツを使うこと、などを心がけましょう。

 そして、虫に刺された場合に大事なのは、掻かないことです。皮膚を掻くと身体が反応してヒスタミンを放出するため、さらに症状がひどくなります。また細菌が入り、化膿する原因ともなります。アイスパックで冷やすなどして掻かないようにしましょう。

 どんな虫に刺されたのかは、刺された箇所と状態を見ても診断できませんが、治療は基本的にどの虫刺されも同じです。一般的なのは、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤の服用と、局所の炎症を鎮めて後の色素沈着を防ぐためのステロイド外用薬の塗布となります。アレルギー反応が特にひどい場合はステロイドの内服、また細菌の2次感染を起こし化膿してしまった場合は、抗生物質の服用が必要になることもあります。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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