日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.198 2014年7月号 掲載


当コーナーで一般読者からの医療に関する質問に答えていた千綿真美さんが、自身の体験を3回に渡ってお届けします。今回は、その3回目です。


「乳がん」と「私」(その3)
B香さん(34)主婦

そこで、オーストラリアは日本とは健康診断のシステムがいろいろ違うと聞いていますが、どのように違うのでしょうか?

 オーストラリアでは、日本のように定期的な健康診断を受けるシステムはありません。 企業に就職する際に健康診断を受けさせられることがありますが、たいていは入社時のみで日本のように毎年受けさせてはもらえません。各自がGPのドクターを受診し、年齢、性別、家族歴や既往歴、現病歴を元に、相談の上でその個人が必要な検査を行なうことがほとんどです。

 メディケア(オーストラリアの国民保険)では、診察代やレントゲン、エコー検査の一部と病理検査(血液、尿、便検査など)のほとんどがカバーされます。メディケアを持たない外国人による健康診断の場合は、海外旅行傷害保険や学生保険(OSHC)ではカバーされませんので、受けるのであれば全て実費となります。

 オーストラリアでは子宮頸癌検診(パップスメア)を除いて、一般的には40代になってから 以下のような内容を主として定期検査を始めていきます。

    【男女共通】

  • 40才―全血球数、血糖値、コレステロール、肝機能など
  • 45才―便潜血
  • 50才―大腸カメラ

    【男性】

  • 45才―PSA(前立腺がん特異抗体)

    【女性】

  • 性交渉を持ち始めてから2年に1回―子宮頸癌検診(パップスメア)
  • 40~45才―マンモグラフィー(メディケアでは40才から2年に1回、BreastScreen WAによる無料のスクリーニングを受けられる) 、GPドクターによる内診(子宮や卵巣の異常がないか)、エコー検査(必要に応じて)

 ただしこれは先に述べたように個人の状況で変わります。例えば、両親などの近い家族に若い年代での遺伝的素因がありえる病気(ガンや糖尿病、高血圧や高コレステロールなど)を発症している場合は、早めの定期検査開始が薦められるかと思います。

 今まで健康診断、またはそれに類するものを受けたことがない、しばらく検査をしていない、などが思い当たる方は、まずはドクターに相談してみましょう。

 3回の連載で自分の体験をつづってみました。今回がその3回目となりますが、オーストラリアで生活する上での健康維持に役立てて頂けると幸いです。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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