日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.189 2013年10月号 掲載


当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第18回目は、「パップスメア」についてです。


パップスメアについて
U美さん(31)主婦

病院に行ったら「パップスメア」というものについて聞かれました。

 オーストラリアでGP(一般医)を受診した際に「パップスメア(PAP Smear)を受けたか?」とドクターから質問されたことのある女性は多いかと思います。パップスメアとは、女性の子宮頚部癌早期発見のための検査です。早期の子宮頚部癌はほとんどが無症状のため、この検査を定期的に受けることで、子宮頚部に将来、癌化するかもしれない細胞変化が見られないかどうかが確認されます。ここオーストラリアでは、15歳以上のセックス経験のある女性は全て70歳になるまで定期的に最低2年毎の検査が勧められ、閉経後、あるいはもうセックスをすることはないという女性でも行うべきだと言われています。この検査は、GPまたはSexual Health Clinicなどで受けることができます。

 検査を受ける最もよい時期は、生理終了直後です。検査手技は簡単で、5分もかからず痛みは伴いません。小さな器械(膣開口器)を膣内に挿入し膣を押し広げて、そこから綿棒と柔らかいブラシを使い子宮頚部の細胞を擦り取り、細胞の組織検査に提出されます。検査中に深呼吸をすると、筋肉の緊張が緩みスムーズに行われます。検査後にごく少量の出血が見られる場合がありますが、すぐに落ち着きますので心配は要りません。

 子宮頚部癌を引き起こす原因のひとつとして、HPV(ヒト・パピロマ・ウイルス)の子宮頚部への感染が挙げられます。HPVは性交渉によって感染するもので、セックス経験のある女性の大多数が感染するほど、ありふれたウイルスです。多くの場合は、身体の免疫機能が働いて自然に排除されるのですが、時々排除できずに感染が長期化し、子宮頚部の細胞変化(これが子宮頚部異形成と言われます)を引き起こす原因となります。この子宮頚部異形成が数年を経て、癌化してしまうリスクとなるため、パップスメアは異常が発見された時点で注意と対処ができるよう積極的に勧められている検査なのです。また、子宮頚部異形成が発見されたからといって、必ずしも癌になるわけではありません。

 検査結果は、たいてい約1週間で出ます。異常がなければ、検査はまた2年後に受けることになります。子宮頚部異形成が発見された場合は、その範囲と程度によって、3~6ヵ月後に再検査を行い様子を見るという場合もありますし、婦人科の専門医を受診し電気やレーザー治療をする必要がある場合もあります。まれに、高度の異形成やごく初期の癌化細胞が発見された場合は、子宮頚部円錐切除術などの手術が必要となることもあります。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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