日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.182 2013年3月号 掲載


【第11回】当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第11回目は、「保険と出産」についての後編です。


質問:保険と出産について(2)
Y香さん(21)ワーキングホリデー

保険のことは分かりましたが…、具体的な出産費用は?

 永住権をもち、メディケア(Medicare/オーストラリアの国民保険)保持者の場合、公立病院での出産は基本的には、ほぼ無料となります。ただ、プライベートの産科医で、私立病院での出産は、メディケアでのカバー分を超える料金(GAP)は、自己負担になります。この場合、別途オーストラリアのプライベートの保険に入っていれば、その差額分をほぼカバーしてもらうことができます(但し、プライベートの保険には妊娠してから入ることはできません。保険会社にもよりますが、大抵は1年の待機期間<Waiting Period>が適応されます)。OSHC(Overseas Student Health Cover/学生ビザに付随する強制保険)も同様に、1年の待機期間が課されています。日本からの海外旅行障害保険は、妊娠に関する費用はカバーされません。

 さて、Y香さんの場合ですが、全く保険のない状態です。では、メディケア非保持者で、公立病院での出産費用がどのくらい掛かるか、おおよそを以下にて紹介します。

 妊娠発覚から妊娠20週頃までは、一般医(GP)にて検診、フォローアップということになります。この場合、1回の診察代$60~70、初期の血液検査が$250前後、超音波検査1回$200前後となります。そして、2013年1月現在のKing Edward Memorial Hospital for Women(キングエドワード女性専門記念病院)からの情報によりますと、20週を過ぎて、公立病院での検診が始まれば1回の検診が約$190、何か検査が必要であればそれぞれの検査代、出産時の入院費用はベット代(出産費用を含む)が1日$1,056(大抵、自然分娩で5日間、帝王切開で7日間の入院)、もし帝王切開や無痛分娩にてプライベートの麻酔医を頼めば別途費用がかかります。また、新生児が未熟児や他に問題があった場合、その入院費用としてベット代が1日約$1,000かかります。

 一方、私立病院の場合では、初期の診察ならびに血液検査、超音波の検査はGPで上記同様に行われ、妊娠10週前後からプライベートの産科医により検診が行われます。ドクターにもよりますが、1回の検診が初診$250~300、その後、再診毎回$80~100、加えて出産マネージメント費用$2,500~3,000、出産費用(自然分娩、帝王切開、その他処置によって)$1,000~2,000、また出産6週後の再診も請求されます。加えて、何回かの血液検査と超音波検査が加算され、私立病院のベッド代は1日約$1,000、シアター代$1,500~2,000、帝王切開や無痛分娩での麻酔医費用が$1,500~2,000、新生児集中治療室は1日$1,000~1,500、小児科専門医の新生児チェック$300~400などが加算される費用となります。

 オーストラリアでは医療の分業により、ドクター、病院、血液検査、超音波など、それぞれ請求書が全て別々に発生します。複雑ですが、メディケア非保持者がパースで出産する場合(特に妊娠経過も問題なく自然分娩)ですと、公立病院で約$10,000、私立病院で約$15,000前後の予算を考えれば宜しいかと思います。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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