日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.181 2013年2月号 掲載


【第10回】当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第10回目は、「保険と出産」についてです。


質問:保険と出産について(1)
Y香さん(21)ワーキングホリデー

オーストラリアでの医療費って、どれくらい掛かるんですか?

 日本人がオーストラリアで加入できる保険には、以下のものが挙げられます。

1 .メディケア(Medicare)-オーストラリアの国民健康保険です。外国人でも永住権を取得するとメディケアに加入することができます。何に対していくら支給されるかという細かい規定が、それぞれのアイテムナンバーとともにMBS(Medicare Benefits Schedule)へ定められています。公立病院での診察、検査、入院などはほぼ全額カバーされますが、私立病院やプライベートの専門医などでは差額を自己負担することになります。例えば一般医(GP)のスタンダードの診察(アイテムナンバー23)では$36.30をメディケアがカバーしてくれることになっています(2013年1月現在)。メディケアでは薬、理学療法、歯科治療、眼鏡やコンタクトの処方などはカバーされません。

2. OSHC(Overseas Student Health Cover)-外国人留学生のための健康保険で、メディバンクやワールドケアという会社が取り扱っています。移民局により、学生ビザ取得の際の加入が義務づけられています。死亡、後遺障害などのカバーはありません。医師の診察に関しては、ほぼメディケアと同じ支給率ですが、入院は公立私立病院ともに全額カバー、救急車も全額カバー、薬は処方箋薬であれば年間の$300の制限までカバー可能です(ただし避妊ピルは不可)。入国前から発症している疾病障害や慢性疾患に関しては、ビザ発給日あるいは入国日から換算して12ヶ月間はカバー不可、美容整形や歯科治療、眼鏡やコンタクトの処方などはカバー不可となっています。

3. 海外旅行傷害保険-日本出国前に、個人が契約して加入するものです。死亡、後遺障害、治療・救援費用などの医療費用から、賠償責任、携行品損害、航空機遅延など、様々なオプションをつけて契約できます。疾病や傷害治療費用に関しては、疾病であればその初診日から、傷害であればその事故日から180日間が、個人が契約した支払い限度額まで100%全てがカバーされます。

4. オーストラリアのプライベート保険-HBFやMedibank Privateなど、様々な民間保険会社が取り扱っています。これらは基本的には永住者向けとなっているので、1~2年の短期滞在の場合は、保険料が割高となっています。ただし近年はAONやUNICARE、EDUCOVERなど、当地にある保険会社のもので短期でも比較的割安で入れる保険も出てきています。

 では次回は、当地での出産にかかる費用について詳しくご説明します。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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