日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.180 2013年1月号 掲載


【第9回】当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第9回目は、「熱中症」についてです。


質問:熱中症について
W男さん(28)駐在員

サッカーを友人としていたら、途中で気分が悪くなってしまって

 熱中症 (Heat Stress または Heat Disorder)とは、発汗だけで身体が体温を下げることができず、体温が上昇し続けてしまう状態になると起こるものです。また気温だけでなく、湿度の高い状態でも汗が蒸発しにくく、熱が放散されないため、体温が上昇して熱中症を引き起こすことがあります。
 熱中症は、特に65歳以上の高齢者、赤ちゃんや子ども、妊婦または授乳婦、心臓や肺疾患・高血圧などの慢性疾患を持つ人などに、発症のリスクが高くなる傾向があります。また、水分摂取の不足、長時間直射日光などに身体をさらす、通気のよくない高温の室内での運動や仕事、イベントやパーティなどの人ごみなどは、熱中症を引き起こす要因となります。  主な熱中症の症状と対処法は以下の通りです。

 熱けいれん(Heat Cramps)【症状】意識は正常だが、筋肉のけいれんや痛みがある。【対処法】風通しの良い涼しい日陰に寝かせ、衣服を緩め、水分補給を十分に行なう(ナトリウム(Sodium)を含むスポーツ飲料が良い)。症状が軽快しなければ病院へ。

  熱疲労(Heat Exhaustion)【症状】意識はあるが、めまいやふらつき、頭痛、大量の発汗、皮膚が蒼白、脈が速いなど。【対処法】風通しの良い涼しい日陰に寝かせ、衣服を緩めるか脱がせる。水をかけたり濡れタオルをあてるなどして身体を冷やし、前記のようなスポーツ飲料による十分な水分補給を行なう。症状が軽快しなければ病院へ。

  熱射病(Heat Stroke)【症状】意識がない、または朦朧状態、幻覚や意味不明の言動がみられる、発汗がなく皮膚が乾き赤くなる、高体温など。【対処法】熱射病は多臓器不全を引き起こし命に関わるため、直ちに救急車を呼ぶ。救急車を待つ間は風通しの良い日陰に寝かせ(意識がない場合は誤嚥防止のため横向きに寝かせる)、衣服を脱がせる。また、水をかけたり濡れタオルをあてて身体を冷やす。意識がない状態では水分を飲ませないこと。

 暑い日に心がけることは、まず水分補給を十分に行なうことです。水分は水、あるいはスポーツ飲料が良く、糖分の多いジュースやアルコール、カフェインを含む飲み物は薦められません。直射日光を避ける、帽子の着用、涼しい服装、扇風機やエアコンの使用で涼しい環境を作る、子どもやペットを車の中に残さない、暑い中での運動や仕事は避けるなど、誰もが知っていることとは思いますが、この夏もまた心がけて下さい。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

トップへ戻る